Slow Travel -つながる旅へ-
ハワイ島

多忙な私たちは、限られた時間を最大限に楽しもうと、ついスケジュールに追われる旅を計画してしまいがちだ。「スロートラベル」は、楽しさとストレスを天秤にかける旅ではなく、人や文化、自然をゆっくりと時間をかけて楽しみ、そして敬い、その場所とのつながりを深めることで自身はもちろん旅先にもストレスの無い、サステナブルな旅を楽しもうというものだ。

そんな旅を楽しむ場所として今回選んだのが、人と文化が何よりも心地よく、恵まれた自然環境を持つハワイ。中でも、地球の息吹を感じる圧倒的な大自然とローカルさをバランスよく併せ持つハワイ島なら、存分に「スロートラベル」を堪能できると考えた。

自然と神々への敬意、人との深い絆を表すアロハスピリット。私たちが大好きなハワイを、あらためて楽しんでみたい。

Nature

神宿る島に身をゆだねる

ハワイ島最大の魅力は、なんといっても圧倒的といえる大自然の風景だ。
その力強さから古来神々が宿る場所とされ、ハワイ島の文化と伝統はこの大自然の元で形成されてきた。豊かな恵みに感謝を込めて、この大自然を体験しよう。

PHOTO : Hawaii Tourism Authority / Tor Johnson

この島には5つの火山があり、4000ｍを超える最高峰のマウナ・ケアは、宇宙に最も近い場所として古くから聖地として崇められてきた場所だ。山頂付近は年間の晴天日が300日近くあり、湿度が低く風も穏やかで光害も少ないことから、地球上のどの場所よりも天体観測に適した場所として、日本の「すばる」をはじめ、世界11ヶ国、計13もの天文台が運営されている。現在は幻想的なサンセットから満天の夜空を楽しむツアーが人気で、満月の前後には月の光によって現れる夜の虹「ムーンボウ」を見ることができるかもしれない。

PHOTO : HTA / Dana Edmunds

島の南側に位置するキラウエア火山は、今も活発な活動を続ける活火山で2018年の大噴火が記憶に新しい。流れ出た溶岩による見渡す限りの漆黒の大地はハワイ島ならではの風景だ。火山周辺は国立公園化されておりトレッキングも可能で、いまだ冷めずに赤く輝くマグマを見ることもできる。

そして海。コロナ渦で旅行者が減ったハワイの海は、浄化が進み透明度が改善。本来の美しさを取り戻したといわれており、海の守り神とされるホヌ（ハワイ語でウミガメの意）や、固有種で絶滅危惧種であるモンクシールなどに出会える可能性も高くなっている。もし出会ったら、一定距離以上近づかず離れたところから温かく見守ろう。

ハワイには「マラマ（Mālama）」という言葉がある。「思いやる心」という意味で、古くからこの壮大で美しい自然を守るためにハワイアンたちが大事にしてきた言葉だ。この大自然こそが、楽園ハワイの原点なのだ

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  溶岩台地に力強く咲く、固有植物の「オヒアレフア」
  PHOTO : HTA / Kuni Nakai
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  ハワイアンが最も恐れ、そして愛する火の女神ペレ。その棲家として祀られてきたハレマウマウ火口にはレイなどを供える人も多い
  PHOTO : HTA / Tor Johnson

Food

大地の恵みを楽しむ

ハワイ島には肥沃な火山性の土壌と恵まれた気候によって育まれる、北米で唯一生産される2つの名産品がある。コーヒーとカカオだ。

南西部のコナで栽培されるコナコーヒーは、甘くフルーティーで深いコクと雑味の無い酸味が特徴で、その上質さは世界三大コーヒーに数えられている。最近では東南エリアのカウ産の「カウコーヒー」が、ホワイトハウスの晩餐会で提供され注目が集まり、第二のハワイブランドとして人気を集めている。

一方、独特なフルーティーさで上質な味わいが特徴のハワイアンカカオ。少量生産のため入手が難しく、ファンのあいだでは「幻のカカオ」と呼ばれている。

島内にはファームツアーを行う農園が多数あり、焙煎体験や、テイスティング、オリジナル商品の購入など、現地ならではの体験が可能だ。

コナコーヒーの品質管理は厳しく、生豆の出来具合を5段階に格付し、それ以下の品質のものはコナ産であってもコナコーヒーを名乗れず、「ハワイアンコーヒー」として取引される。

一方の希少なハワイアンカカオは、年々生産者も増え、栽培からチョコレート生産までを一貫して行うファームも登場。純ハワイ島産の最高級のチョコレートが楽しめるまでになってきている
PHOTO : HTA / Heather Goodman

History

歴史の偉人を敬う

ジェームズ・クックによって西洋との交流が始まり、カメハメハ一世によって現在にもつながる文化の基礎が築かれたハワイ。その歴史に触れる場所を尋ねる。

ジェームズ・クックとカメハメハ大王。この2人を偲ぶ場所として訪れておきたいのが、カイルア・コナだ。ここはハワイ王国最初の首都となった場所で、大王が晩年を過ごした神殿「アフエナ・ヘイアウ」や、王家の離宮「フリヘエ宮殿」などを見ることができる。そして、ケアラケクア湾には、この地に上陸し、その後この地で非業の死を遂げたジェームズ・クックを偲ぶ記念碑が建てられているので、ぜひ訪れてみてほしい。また、「プウホヌア・オ・ホナウナウ」は、王族の霊廟があった場所で、宗教上の聖地でもあったことから、ハワイで最も神聖な史跡といわれている。訪れる際は、人々が大切に守り継いでいる文化遺跡に敬意を持とう。

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  ケアラケクア湾のジェームズ・クックの記念碑
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  北部の小さな町カパアウに建つオリジナルのカメハメハ大王像
  PHOTO : HTA / Tor Johnson

現在の「アフエナ・ヘイアウ」は当時の2/3サイズのレプリカだが、今もハワイアンの聖地となっている
PHOTO :
Island of Hawaii Visitors Bureau / Kirk Lee Aeder

Luxury Golf Resort

晴天率が高く、ハワイ島では貴重な白浜のビーチがあるコハラ・コースト。
ここは漆黒の溶岩台地の中にオアシスのように広がる一大リゾートエリアだ。

フォーシーズンズ・リゾート・フアラライ・ゴルフコース

ハワイ島の高級リゾートエリアとして人気が高く、ホテル、ゴルフ、大型ショッピングセンターなどが点在するコハラ・コースト。その一つ、ハワイ島唯一の5つ星リゾートである「フォーシーズンズ・リゾート・フアラライ」は、バンガロータイプのゲストルームにフルサービスのスパなど、極上ステイを堪能できる。また、歴史や文化、海洋生物などのアクティビティも用意され、ハワイ島について学ぶことも可能だ。そして、ハワイ島で外せないゴルフも、併設のコースまでカートで移動できたり、早朝のコース散策なども可能で、一体型リゾートならではの楽しみ方がある。

豊富なアクティビティを誇るフアラライ。1000匹以上の熱帯魚が生息する海水プールで
は海洋生物の生態系などを学ぶこともできる

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  フアラライのゲストルームはすべて2フロアのバンガロータイプ。
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  極上のスパはラグジュアリーリゾートの欠かせないエクスペリエンスだ

ハワイ島の大自然にゴルフで挑む

コハラ・コーストには、チャンピオンシップコースを含め多数のゴルフコースが点在する。自然とじっくりと向き 合うゴルフもまた、ハワイ島の大きな楽しみの一つだ。

溶岩台地を切り開いた海越えのコースといった、ここでしか体験できないダイナミックなコースバリエーションが大きな魅力のハワイ島でのゴルフ。リゾートに隣接したコースも多く、気軽にプレイを楽しめる点も人気のポイントだ。

例えば、「ワイコロア・ビーチ・リゾート・ゴルフ」は、「ビーチナイン」「レイクスナイン」「キングスナイン」という難易度の異なる3つのコースで構成された名門コースだが、フェアウェイの真ん中に溶岩を残したコースや、ハワイ島屈指のシーサイドコースなど、とてもユニークでチャレンジングなコースが用意されている。また、ワイコロア・ビーチ・リゾート内のコースなので移動も容易なため、その利点をいかしてサンセットゴルフや1日3ラウンドといったことも可能なのだ。

ワイコロア・ビーチの「ビーチナイン」は、初心者でも楽しめるコース。

「キングスナイン」は難易度の高いチャンピオンシップコースとなっている