丁寧に誠実に作られた イタリア郷土料理の本質を 心ゆくまで味わう
「PELLEGRINO」の高橋隼人さんからバトンを受け継いだのは、 代々木公園にある「Ostü」の宮根正人さん。 優しくも力強い味わいに、イタリアンの奥深さを知る。
Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
宮根正人
都内の複数のイタリアンレストランで経 験を積んだ後、26歳のときに単身イタリ アへ。ロンバルディア州マントヴァを経 て、ピエモンテ州バローロ村で5年間にわ たり腕を磨く。
一見シンプルな皿に息づく北イタリアの伝統と文化
静かな住宅街の一角に佇む『Ostü』。大きな窓の外には、春には桜、秋には紅葉と四季折々の自然が広がる。
シェフの宮根正人さんはイタリアでの修行時代のほとんどをピエモンテ州バローロ村で過ごした。北イタリアの郷土料理は、一見するととてもシンプルだが、味わい深いものだったという。
「料理人としては皿を飾り立てたいと思ったこともありますが、『本当に食べていただきたいものだけを皿にのせる』という結論に行きつきました」。
オリジナリティを主張するより、イタリア料理の美味しさそのものを伝えたい――その想いから、あえてアレンジは加えず、現地の味を忠実に守る。素朴な見た目とは裏腹に、口に含むと複雑に重なり合う味に驚き、「もっと食べたい」と思わせる。素材の濃厚な旨みや豊かな香りも、余計な装飾がないからこそ集中して味わうことができるのだ。
修業時代から変わらないのは、「目の前の皿に誠実でありたい」という信条だ。野性味のある独特の風味を求め、食材もできるだけ現地のものにこだわる。
温かな〝食堂〞の雰囲気漂う居心地の良い上質空間
『Ostü』とは、「食堂(オステリア)」を意味するピエモンテ州の方言だ。
「落ち着いた上品さがありながらも決して格式張らない。私が描く店のイメージは、北イタリアのどの街にも必ずあった、そんなオステリアです。郷土料理はその土地の文化や風土に育まれたもの。現地のオステリアのように気軽に寛いで食事を楽しんでいただきたいという想いを込めました」。
現在も現地を訪れては、アンティークの小物などを買い集めているのだとか。その品々は店を飾り、現地にいるかのような雰囲気を醸し出している。定番の料理はもちろん、季節や素材に合わせた月替わりの一皿を選ぶのも楽しい。肩肘張らず、「美味しいものが食べたい」と思ったときに足を運びたい店だ。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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Ostü (おすとぅ/代々木公園)
住所: 渋谷区代々木5-67-6 代々木松浦ビル1F▶︎MAP 電話番号: 03-5454-8700 営業時間: ランチ/月・土・日・祝日12:00~14:30(L.O.13:00)
ディナー/18:00~23:00(L.O.21:00)定休日: 水曜日 交通: 東京メトロ千代田線代々木公園駅より徒歩1分
小田急線代々木八幡駅より徒歩3分公式サイト: http://www.ostu.jp/