文化人に愛された 銀座洋食の名店
肉割烹「銀座吉澤」の吉澤直樹さんからバトンを受け継いだのは、「南蛮 銀圓亭」の小澤徳之さん。銀座の洋食文化を支える老舗の料理長として、変わらぬ味と温かな空間で、世代を超えた食の記憶を紡ぎ続ける。
Text_CHIAKI KANAZAWA. Photographs_HIDE NOGATA.
伝統的な洋食の基本を守りながら、旬の食材を取り入れた革新的なアプローチ。シェフの確かな技法があってこそ成り立つ料理スタイルだと思います。
銀座吉澤|吉澤直樹さん
Profile
小澤徳之さん
神奈川県生まれ。東京調理師専門学校卒業。横浜・元町のフレンチレストランに勤務したのち、「南蛮 銀圓亭」の前身となる「胡椒亭」へ。以来店の味を支え続けている。料理に興味をもったきっかけは、小学校のお料理クラブだったというチャーミングなエピソードも。
東京・銀座に〝まろやか〞な時が流れる洋食の名店がある。ここは「南蛮 銀圓亭」。店名の「圓」は、作家・吉田健一の著書「まろやかな日本」に由来するという。前身となる「胡椒亭」時代から多くの文化人が通うこの店は、親から子、そして孫へ、世代を超えて通う常連客も多い。
心がけているのは、誰もが過ごしやすい空間。料理長の小澤徳之さんは「うちはオープンキッチンなので、お客さまの様子がよく見えます。ホールスタッフはもちろん、キッチンに立つ料理人も、常に料理をお出しするタイミングを見ているんですよ」と語る。常連客が年齢を重ねれば、「今日は柔らかいものが」という要望にも自然と応じてきたのだとか。
そんな気配りの行き届いた店内では、自然と客同士の交流も生まれる。
「家具や絵画などの調度品も〝心地よさ〞を大切に選んでいるんですよ」
銀座の老舗でありながら肩肘張らずくつろぐことができ、どんなシーンでもあたたかく迎えてくれる。思わず「ただいま」と言ってしまいそうになるほどに。
料理は産地やブランドに縛られることなく、「その時に手に入る一番いいものを、一番おいしい形で出す」ことだけを考える。名物のビーフシチューのソースは、完成まで2~3週間を要する。手間暇かけた絶品ソースをまとった牛肉は、濃厚な味わいを口いっぱいに広げながらとろけていく。毎年ゴールデンウィーク明けから登場するヴィシソワーズも、常連客が心待ちにする季節の一皿。心落ち着く空間で、他では味わえない逸品を頂けるのが、何世代にもわたって愛され続ける理由だろう。
「料理の技術だけでなく、お店の考え方や空気感も含めて、次の世代に受け継いでいきたいですね」
創業当時から変わらぬ味も、実は時代に合わせて少しずつ変化させている。時代が移っても、守るべき味は守りながら、客の顔を見て差し出す一皿に、銀座の名店の真髄が宿る。
RESTAURANT INFO店舗情報

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南蛮 銀圓亭
(なんばん ぎんえんてい/銀座)電話番号: 03-3573-1991
住所: 東京都中央区銀座5-4-8
並木通り5丁目カリオカビル7F
▶︎MAP営業時間: 11:30~14:00(L.O. 13:00)
17:00~21:30(L.O. 19:00)休業日: 日・祝日