トップバトン

トップバトン VOL.8

イーレックス株式会社 代表取締役社長 本名 均氏

ISSUED | 2020.03

再生可能エネルギーで低炭素社会の実現に貢献したい

リレー形式で経営者をつなぐ「TOP BATON」。阪和興業の代表取締役社長 古川弘成氏からバトンを受け取ったのは、イーレックスの代表取締役社長 本名均氏。バイオマス発電のリーディングカンパニーとして、道なき道を切り開いてきた20年を、振り返ってもらった。

PROFILE

本名 均

1948年生まれ、新潟県出身。73年慶應義塾大学法学部卒業、東亜燃料工業株式会社(現JXTGエネルギー株式会社)に入社。事業計画部部長を経て、2000年に代表取締役副社長としてイーレックス株式会社に入社。16年に同社代表取締役に就任。イーレックスニューエナジー株式会社、佐伯バイオマスセンター株式会社、豊前バイオマスセンター株式会社、沖縄うるまニューエナジー株式会社等の代表取締役も兼務。

 

バイオマス発電によるNon-FITへの挑戦

 2000年から段階的に進められてきた電力自由化の波に乗り、「新電力」と呼ばれる特定規模電気事業者が年々増加している。本名均氏率いるイーレックス株式会社は、1999年の創業以降、2013年に日本で初めてパームヤシ殻を燃料とするバイオマス発電所を高知県土佐で稼働させたのを皮切りに、2016年には大分県佐伯でも稼働。今後も2020年に福岡県の豊前と岩手県の大船渡に、2 0 2 1 年に沖縄県中城、2023年には香川県坂出林田での運転開始を控えているなど、燃料の調達から発電・販売までを一貫して行う、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーである。

「日本の再生可能エネルギーの発電比率は太陽光が一番大きく、次に風力、バイオマスと続くのですが、太陽光と風力はどうしても天候の影響を受けてしまいます。そこで当社は安定的な供給を担保するために、バイオマス発電に着手しました。しかし、再生可能エネルギーはFIT(固定価格買取制度)によって推進されてきたものの、運用コストが高く、国民の負担額が年間約3兆円にものぼるという課題があるため、当社では『Non-FIT』への挑戦を始めました。FITに頼らないバイオマス発電所を実現するには、大型のバイオマス発電所を造り固定費を下げなければなりません。燃料を安定的かつ安価で入手するために、国内外の企業はもちろん、ロシアやカンボジア政府への応援も仰いでいるところです。社会の要請に応えることが当社の使命です。FITに頼らないバイオマス発電所の建設が、低炭素社会実現への希望になると信じています」

2020年1月に稼働した国内最大級の本質バイオマス発電所「豊前発電所」(福岡県豊前市)。主燃料はパームヤシ殻と木質ペレット

幼少時代からの夢を叶える電力事業への挑戦

 子どもの頃は村の相撲大会で優勝したこともあるガキ大将。持ち前のリーダーシップで毎年学級委員長も務めたという本名氏。そんな小学生時代に、電力会社に興味を持つきっかけがあったという。「夏休みに父の実家の福島に遊びに行ったら、近くでダムを建設中だったんです。大きな渓谷をダイナマイトで爆破したりするのを見るのが楽しくて、私だけ福島に残って1カ月間毎日現場を見にいっていました。その時、電源開発という会社が水力発電のダムを造っていることを知り、電力の会社って凄いな、楽しそうな仕事だなと思ったことを今でも覚えています。そして、電力会社ではありませんでしたが、大学卒業後、東亜燃料工業株式会社(現JXTGエネルギー株式会社。以下東燃)に就職しました。電力関係企業も検討はしたのですが、東燃は海外でも活躍できそうでしたし、何よりエネルギー関連会社では一番待遇が良かったので(笑)。

 東燃は懐の深い会社で、人脈作りは会社の財産になる、社内外からの話を聞くことも重要だと、多種多様な勉強会への参加を積極的に応援してくれました。そんな恵まれた環境もあり、30代の頃に異業種交流会を作り、当時のメンバーとは今も時々集まって議論をしていて、たくさんのヒントや知的好奇心を頂いています。大学生の気分ですね。日銀の政策委員会審議委員をお務めになられた東燃の元社長中原さんは、当時から将来的に石油は低減するから、燃料電池や太陽光発電もやっておけという方針で、電力関係の仕事に携わる機会をいただきました。現在電力・ガス取引監視等委員会の委員長をお務めの八田達夫さんや、元資源エネルギー庁長官の日下部聡さんら、制度設計に関わる方たちとも電力自由化について議論をしました。そして、日本短資(現セントラル短資株式会社)と上田短資(現上田八木短資株式会社)が電力事業に乗り出す際に誘っていただき、転籍をしたのが50歳の時です。電力自由化への期待もあって、面白そうだと思いましてね。同僚や先輩方も応援してくれました」

挑み続けた20年とこれからのイーレックス

 創業からの今までは「大変なことばかりだった」と語る本名氏だが、そんな状況をどこか楽しんでいるように聞こえる。

「常々部下たちとは、『難しい方を選択しよう』と話しています。世の中の変化は早いですが、自分自身を変えるきっかけをつくるのはなかなか難しい。だからあえて難しい選択をすることで、新しい可能性を広げようという思いです。例えば『Non-FIT』を掲げて新しい燃料調達ルートを模索していたときに、カンボジア政府から水力発電所建設の要請を受けて、現地でのダム建設につながりました。カンボジアは慢性的な電力不足の国なので、水力発電所が完成すれば電気の安定供給に役立ちます。低炭素社会の実現は世界の課題ですから、今後は国内だけではなく海外にも積極的に働きかけていこうというきっかけにつながりました。それから、経験者ゼロにもかかわらず、バイオマス発電所を造ろうと言って、何とかここまでやってこられたのも、多くの方々との出会いがあったからです。発電所の土地を提供してくれた太平洋セメントさん、燃料調達では阪和興業さん、技術ではJFEエンジニアリングさん、ファイナンスでは三井住友銀行さん。本当に感謝しています。今後も、茨の道で出会うチャンスを生かして、様々な企業様と積極的にアライアンスを組みながら、社会貢献と収益性を兼ね備えた事業にスピードと併せて挑戦していきたいですね。
 一方で、社内の人材はかなり充実してきました。2014年にマザーズに上場、翌年には一部に上場しましたが、上場は資金調達のためというよりも、より良い人材の獲得が目的でした。会社が成長するためにはお金が必要ですが、会社の成長で一番大事にすべきことは、お金を得るための、その仕組みを作ってくれる『人』を確保し、育てることです。弊社では優秀な方であれば、慣習や前例にとらわれず積極的に採用をしていますので、例えば他社を定年退職された方が活躍しています。様々な経験を積んだ社員同士が、互いに影響し合い高め合える環境こそが、『未来に挑む』というイーレックスの文化を紡いでいくのだと考えています」

 再生可能エネルギーという、私たちの未来に関わる事業に挑むイーレックスの挑戦はまだまだこれからが本番。本名氏が目指すその未来を、楽しみに見守っていきたい。

OUR WORD

困難への挑戦が機会を作る
̶̶ 本名 均

大きく成長していく木のように、人生の節目を乗り越えて人は成長していく。これまでの人生を振り返ると、辛くて困難なことが大半でしたが、それにより会社と自分も変わると実感しています。

 

イーレックス株式会社

発電から販売までをワンストップで行う、1999年創業の新電力のパイオニア。「挑む文化」のもと、国内初のパームヤシ殻を燃料としたバイオマス発電を行い、国内で4つの発電所を稼働中。2018年4月からは都市ガス販売も開始するなど他社との差別化を図りながら、エネルギーサービス企業として進化を続けており、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーとして、低炭素社会の実現を目指している。



END

THIS BATON FROM...


SHARE THIS ARTICLE この記事をシェアする

RELATED ARTICLESこちらの記事もおすすめです

GOURMET BATON 名古屋グルメバトン 記事一覧