伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その三

古きよき時代を引き継ぎ未来への道を切り開く、日本橋の顔

ISSUED | 2017.06

『鳥料理 玉ひで』 八代目 山田 耕之亮さん

  • 伝統ジャンル | 鳥料理 継承歴 | 33年
  • 1961年東京都生まれ。法政大学卒業後、1年間の修行を積み、23歳で「玉ひで」に戻り、8代目を継承する。老舗の味と技を守るとともに、新たな挑戦をし続けるパイオニア。

古きよき時代を引き継ぎ未来への道を切り開く、日本橋の顔

 「継ぐなんて楽だよ。次の代に伝えていくのが大変なんだよ」

 軽快な江戸っ子口調で語るのは、『玉ひで』八代目の山田耕之亮さん。“玉ひで”と聞いて知らない人はいない東京を代表する老舗だ。さぞ素晴らしい継ぎ人論が聞けると思っていたが、彼の第一声に面食らってしまった。

 「うちは親子丼屋じゃなくて、鶏料理屋なんだけどな」と山田さん。そう。玉ひでは、御鷹匠の家に生まれた初代鐡右衛門が宝暦十年に創業。将軍家の御前で血を見せずに鳥を切る秘伝の包丁裁き「御鷹匠仕事」の技を持つ唯一無二の存在として、武家屋敷で鶏料理を振舞っていた。 「よく家業を潰すのは三代目なんていうけど、それは違うな。初代、二代目は二人三脚、三代目は初代の思いをわかっていながら客観視もできる立場。だからこそ変革するんだよ」

 玉ひでが軍鶏料理屋として営業に専念するようになったのも三代目鐡之助のとき。その変革は、今もなお、玉ひでが存在するきっかけになっているかもしれない。 「五代目まで続いてはじめて一人前の老舗だよね。老舗は、本業を頑なに守るべきと思われがち。ちょっと違うことをすれば、変わっちゃったとか、大丈夫なのかって、勝手に評価されて。日本橋は老舗が多い町だけど、核の部分は変わることなく上手く時代の流れにのれた老舗だけが今も続いているよね」

 本業はもちろんのこと、日本橋という東京の中心となる町の活性化のためにも挑戦を惜しまない。「やっぱり、子どもが継ぎたい店にしないとね」と誇らしげに語る山田さん。“継ぐ”ということの真髄に少し近づいた気がした。

  • 鶏一途 山田耕之亮

  • 匠の言葉

    「鶏一途」
    「うちは鶏しか出さないからね。前菜から〆まですべて鶏を使った料理。そんな店はないよ」と山田さん。鶏に一途でいることこそ、自分なりのこだわりだとか。

店舗情報

玉ひで

  • 住所 中央区日本橋人形町1-17-10   ▶︎MAP
    電話番号 03-3668-7651
    営業時間 昼の部 親子丼:11:30~13:30
    (13:30までにご来店のお客様で終了)
    昼膳・コース:11:45~14:30
    夜の部 17:30~22:00(LO21:00)
    不定休(休業日はお問い合わせください)

    筋肉質で食感も楽しめる「東京軍鶏」を使用した鳥すき焼き。鳥らしい素直なうまみが感じられ、さっぱりとした味わいだ。江戸前の風味を生かした秘伝の割下で炊き上げる。

    元祖親子丼(1,500円)は、五代目店主の妻・とくさんが1891年に考案。時代は変われど、うまいものを食べるために並ぶのは、今も変わらない。

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