伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その八

伝統と向き合い、技を極める。誠実な料理人

ISSUED | 2017.12

柳橋 大黒家 三代目 丸山 雄三さん

  • 伝統ジャンル | お座敷天ぷら 継承歴 | 三代目
  • 1966年生まれ。大学卒業後、大塚「なべ家」にて一年間の修行を経て、実家である「柳橋 大黒家」に入る。40歳で三代目を継承。代々受け継がれる伝統の技を守る継ぎ人。

伝統と向き合い、技を極める。誠実な料理人

 昭和23年、天ぷらの老舗「浅草大黒家」の次男が柳橋に創業した「柳橋 大黒家」。昭和、平成と時を重ね60有余年。現在、店には三代目の丸山雄三さんが立つ。
「一日でも早く一人で店に立ちたいと思っていました。父でもある二代目は厳しい人でしたから、一人で店に立った時はプレッシャーというよりも、一人でやれてやりやすかったですね。認めてもらったというより、自然と入れ替わったという感じで。きっと、まだまだ足りないと思っているはずですよ」

 子どもの頃から父親の背中を見ていた。「父がやれるなら……」と軽い気持ちで天ぷらの世界に入ったが、実際、そんなに甘いものではなかった。 「二代目は昔気質の料理人で。今更ですが、もっと話をしておけば良かったです。今、息子が店を手伝っていますが、息子とは壁がない間柄になりたいです。私は保守的なタイプなので、伝統を守っていくことが向いていましたが、これからはチャレンジすることも大切。同じことをする必要もないですし、楽しく仕事をしてほしいと思います」

  かつて花街として賑わいをみせていた柳橋も、寂しい街になりつつある。客もこれまでの接待利用でなく、外国人やプライベートで訪れる人が多くなった。 「仕事を継いで一番良かったことは、家族全員で働いているときでしょうか。幸せですね∼。近い将来、三代揃って店に立つこともあるかもしれません!」

 無駄のない洗練された所作で天ぷらを揚げてゆく丸山さん。その寡黙な姿の裏に、沸々と燃える料理人魂を感じた。 待ち座敷でお茶をいただき、準備ができたら別室のカウンターで揚げたての天ぷらをいただく。食後は川が見える部屋でゆっくりと寛ぐ。この贅沢な時間が味わえるのも大黒家ならでは。

  • 一意専心 丸山雄三

  • 匠の言葉

    「一意専心」
    一瞬一瞬に魂を込める。丁寧な仕事ぶりが印象的な丸山さんらしい言葉だ。

店舗情報

柳橋 大黒家

  • 住所 台東区柳橋1-2-1   ▶︎MAP
    電話番号 03-3851-4560
    営業時間 11:30~14:00
    17:00~21:00
    定休日:日曜・祝日

    右:「未だに納得いく衣ができないんですよ」と丸山さん。椅子に座りながら天ぷらを揚げる姿はなんとも上品。
    左:朱塗りが華やかな円形のカウンターは、創業から変わらないお店のシンボル。

    右:活海老、魚介、野菜、かき揚げなどがいただける夜のコースは12,000円(サービス料・税別)。 ランチの天丼や品数を抑えたハーフコースも人気。
    左:未来の四代目、長男と一緒に。

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