伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その三十

親子3代で切り盛りするアットホームな洋食屋さん

ISSUED | 2019.12

小春軒 四代目 小島祐二さん

  • 伝統ジャンル | 洋食 継 承 歴 | 小春軒 四代目
  • 人形町の老舗洋食店「小春軒」に3人兄弟の次男として生まれる。高校卒業後、服部栄養専門学校に進学。YMCAホテルのレストランに約10年間勤務し、1995年に「小春軒」に入店。四代目主人として腕を振るう。

親子3代で切り盛りするアットホームな洋食屋さん

 「小春軒」は明治45年創業。第三代・第九代総理大臣を務めた山縣有朋のお抱え料理人だった小島種三郎さんが、同家女中の春さんと結婚して開いた。現在店を切り盛りするのは三代目小島幹男さんと女将の絹子さん、そして四代目祐二さんと五代目の祐太さん。「気どらず美味しく」という創業からの理念を体現するかのように、家族でアットホームに営業している。

 看板メニューは「小春軒特製かつ丼」。祐二さんが修行から戻ってくるタイミングで初代の味を復刻した。幹男さんが幼い頃に食べさせてもらった記憶だけを頼りに、親子で試行錯誤しながらレシピを完成させた。醤油味の割り下にデミグラスソースの隠し味を加えたタレは、和洋折衷の味わい。日本の洋食のルーツに出会えたようで感慨深い。洋食の歴史と小春軒の家族の歴史を閉じ込めた一皿だ。

 家族で仕事をしていれば喧嘩もしょっちゅうだが「翌日には忘れてしまう。家族だからね」と祐二さんは笑う。厨房内の役割分担は幹男さんが揚げ物、祐二さんが焼き物。その他の雑用は五代目の祐太さんの担当だ。

「息子は一人っ子なので、医者とか弁護士になりたいと言うと、そうはさせないぞ! と勉強を阻止してきました(笑)。小学生の頃にはアジを下ろせるようになっていましたね。でも彼が憧れているのは料理よりも経営能力に優れている人なんです。『たいめいけん』のご主人とかね(笑)。それでいいと思っているんです。なまじっか料理ができるとその枠に囚われてしまいがちですから。山縣有朋が好きだったタケノコでメニューはつくれないかといったアイデアが息子からは出てくる。そのうち奴に使われる日が来るかもしれません」。苦笑する祐二さんの表情はどこか嬉しそうだ。

  • 気どらず美味しく

  • 匠の言葉

    気どらず美味しく
    初代から受け継ぐ「小春軒」のモットー「気どらず美味(おい)しく」。時代とともにメニュー構成は変わっても、アットホームな雰囲気と、作り置きをせず一番美味しいタイミングで提供することだけは変わらない。

店舗情報

小春軒り

  • 住所 東京都中央区日本橋人形町1-7-9▶︎MAP
    電話番号 03-3661-8830
    営業時間 月~土11:00~14:00、月~金17:00~20:00
    定休日 日曜・祝日休

    小春軒の看板メニュー、その名も「小春軒特製かつ丼」。ビーフシチューをベースに発想しているため、じゃがいもや人参、玉ねぎなどの野菜もたっぷり。一般的なかつ丼とは一線を画す味わいで、古いのに新しい。

    小島家ファミリー。左から四代目祐二さん、五代目祐太さん、三代目幹男さん、絹子さん。

    左)昭和2年当時の人形町。左にみえる「西洋御料理」と書かれた看板が小春軒だ。
    右)店の壁には「小春軒のれきし」と書かれた額が掲げられている。油と客のタバコで飴色にいぶされて、長い歴史を感じさせる。

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