既成概念を打ち砕く独創性。フレンチ界の風雲児が魅せる、新しい価値観を秘めた一皿。
神宮前の「Liberté a table de TAKEDA」の武田健志シェフからバトンを受け継いだのは、神宮前の名店「Florilège」の川手寛康シェフ。 独創的な料理の数々が、ゲストを驚きと感動の世界へ導いて行く。
Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
川手寛康
洋食店に生まれ、2000年に「恵比寿Q.E.D. CLUB」で料理人としての人生をスタート。西麻布の「ルブルギニオン」のスーシェフを経て、2006年に渡仏。モンペリエの「ジャルダン・デ・サンス」から帰国後、白金台の「カンテサンス」でスーシェフを務め、2009年に独立して「フロリレージュ」をオープン。
社会問題もご馳走に変える 気鋭のフレンチシェフ
「今後のレストランシーンは、ただ美味しいだけじゃなく、さらに先を見せていく必要がある。
新しい価値観を与えること。それが料理人最大の使命です」と語るのは、今年の2月に発表された「アジアベストレストラン50」で「注目のレストラン賞」を受賞した「フロリレージュ」を率いる川手シェフ。
世界が注目するその腕から繰り出される料理の数々は、飽食の快楽に溺れる現代社会に一石を投じる。
その姿勢を象徴する一皿が、「サスティナビリティ(持続可能性)」だ。年間約500万?800万トンのフードロスが発生している日本において、子や孫の世代に食材を引き継ぐために料理人ができること。
その1つの答えが、この一皿なのだ。
食材は一般的には流通しない経産牛をあえて使用。スライスした牛肉はトレハロースで乾燥させ75℃のコンソメでさっと火を通す。
そして、牧場から取り寄せた藁で燻製したじゃがいものムースを敷き、上からコンソメをかけたら完成だ。シェフの腕にかかれば、硬く、香りが強い経産牛も極上の逸品になる。
「美味しい」のその先にある 想いを伝えるために……
「僕一人ではレストランは成立しません。食材がなければ料理は作れませんし、スタッフがいなければ美味しい料理も提供できません。
もちろん、お客様がいなければ、そもそも料理をつくる意味もない。
そんな、料理の背景にある生産者の想いや、僕たちの想いを感じてほしい」と川手シェフ。
その気持ちは、インテリアにも表れている。
フレンチレストランといえば、ダイニングとキッチンは別々で、サービスマンが料理を運ぶのが一般的だが、
「フロリレージュ」はキッチンを囲むようにカウンターが配され、時にシェフが料理をサーブする。
食材が極上の料理となる過程をつぶさに観察できる仕掛けだ。
シェフの一挙手一投足を見守りながら、料理を取り巻くあれこれに想いを馳せてほしい。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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Florilège (フロリレージュ/青山)
住所: 渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑 B1 ▶︎MAP 電話番号: 03-6440-0878 営業時間: 12:00〜13:30(L.O.)
18:30〜20:00(L.O.)定休日: 水曜日(不定期休み有) WEB: http://www.aoyama-florilege.jp/