和食の粋と和牛の滋味ともに味わう贅の刻
高輪台の「鮨 梢」の梢 ひろしさんからバトンを受け継いだのは西麻布の日本料理「常(とわ)」の常安孝明さん。伝統的な和食にこだわりの和牛を織り交ぜた、肉割烹を提供する。
Text_SAYAKA NAGASHIMA. Photographs_MASAMI OHIRA.
「赤坂 菊乃井」時代の同期で、「天才だ」と感じた料理人。渡仏を経て技に磨きをかけた常安さんは、今も変わらぬ憧れの存在です。
鮨 梢|梢 ひろしさんより
Profile

常安孝明さん
岡山県出身。高校卒業後、辻調理師専門学校で和食の基礎を学ぶ。卒業後は東京の「赤坂 菊乃井」で3年間修業し、渡仏。パリの日本料理店「花輪」で3年間経験を積み、帰国後は元麻布(現:虎ノ門)の「日本料理 かんだ」で約7年間修業を重ねる。2018年に独立し「常」を開店。
伝統的な和食と上質な和牛料理の双方を、一つのコースで楽しめる店がある。西麻布の「常」だ。店主の常安孝明さんは、コンセプトについてこう語る。
「和牛は、日本が誇るべき、世界に通じる食材です。しかし和食においては、あまり主役になることがない。私自身、牛肉が好きということもあり、従来の和食文化にとらわれず、美味しい和食と和肉を楽しめる店にしたいと考えました」
常安さんは、名店「赤坂 菊乃井」で日本料理の基礎を学んだ後、パリの和食店で腕を磨いた和食一筋の料理人だ。和牛料理の提供にあたっては、不動前の人気店「焼肉しみず」で研修を受け、部位ごとの扱いや包丁の入れ方、火入れの技術を習得した。
12品ほどで構成されるコースでは、王道の和食の流れに続き、牛テールの春巻きや牛タンの塊焼きといった和牛料理が自然に展開される。その橋渡しとなる存在が「椀」だ。
「和食の要は〝椀刺し〟と言われるほど、刺身とお椀が主役とされています。当店では、4品ほどの前菜と刺身の後にお椀をお出しして、一度ストーリーを完結させます。その後に旨味の強い肉料理を続けることで、緩急のある展開を意識しています」
「常」の椀は、鰹と昆布の一番出汁を用いた、すまし仕立てが基本。この椀を目当てに訪れる客も多い。
自身の料理について「こだわっていないところはない」と語る常安さんは、素材選びにも妥協はない。和牛は、兵庫・川岸畜産の神戸ビーフを中心に、その時々で最適な牛を選び、部位ごとに最適な調理法で提供する。野菜や魚介類は主に豊洲市場から仕入れ、長年信頼を築いてきた業者との連携により、安定した品質を保っている。
「常」という店名には、自身の姓だけでなく、「永久なるもの」という意味も込められている。
「伝統とは、点と点がつながって線になるもの――という言葉を大切にしています。時代が変わっても、『美味しい』と思っていただける料理を、これからも作り続けていきたいですね」

RESTAURANT INFO店舗情報
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常
(とわ/西麻布)電話番号: 03-6433-5680
住所: 東京都港区西麻布4-11-25 モダンフォルム西麻布ビル パート3 2F
▶︎MAP営業時間: 18:00~23:00(完全予約制) 休業日: 日・祝日、GW、年末年始 ※サービス料10%
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●ご利用期限:2025年10月31日(金)
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応募締切:2025年6月1日(日)