伝統を一途に守り江戸前の心を届ける
恵比寿の焼鳥店「恵比寿 とりひろ」の金田泰和さんからバトンを受け継いだのは、築地に店を構える「鮨 忠」の佐藤準一さん。魚と真摯に向き合い、伝統の技を一心に磨く。
Text_SAYAKA NAGASHIMA. Photographs_MASAMI OHIRA.
繊細で一切妥協のない寿司に毎度感動します。空間や雰囲気、そして寡黙ながら温かく目配りのできる大将のお人柄すべてが魅力です。
恵比寿とりひろ|金田泰和さんより
Profile

佐藤準一さん
1982年、山形県生まれ。16歳で寿司店にアルバイトとして入り、以来一貫して職人の道を歩む。都内の名店を中心に研鑽を積み、「30代後半での独立」を目標に技を磨き続けた。2021年3月、修業時代から馴染みのある築地にて「鮨 忠」を開業。
庶民の食として生まれ、今や日本の食文化の象徴となった江戸前寿司。その技と精神を受け継ぎ、伝え続ける職人がいる。築地に店を構える「鮨 忠」の大将、佐藤準一さんだ。16歳で寿司店にアルバイトとして入って以来、この道一筋を貫いてきた。
「ひと塩を当てるだけで魚の状態はがらりと変わるので、その奥深さにのめり込みました。そしてお客さんの反応が変われば、さらに仕込みを工夫したくなる。魚は毎日違う顔を見せるから、飽きることがないんです」
魚の仕入れは、毎朝豊洲市場に足を運び、自らの目で一尾一尾を見極めて選ぶ。信頼する産地からの直送も多く、「顔の見える関係」を何より大切にしている。
「美味しい料理を提供するのは当たり前。それ以上に、楽しく食事をしていただきたい」と話す佐藤さん。その哲学は、店づくりにも表れている。カウンターのみのこぢんまりとした造りながら、入り口から店内に至る導線に三重の扉を設け、訪れる客の期待感を高める。
寿司は江戸前にこだわる一方で、一品料理には遊び心も覗かせる。おまかせコースは握り10貫、逸品10品で伝統と創意のバランスを意識したコース構成が特徴だ。
「江戸前寿司が長く愛されてきたのは、塩締めや昆布締めといった基本の仕事を、忠実に積み重ねてきたからです。変に創作すると飽きが来てしまうため、魚には素材の旨みを引き出すシンプルな仕立てを大切にしています。その分、おつまみでは少し変化をつけて、楽しんでいただけるようにしています」
店名の「忠」は、祖父・忠彦さんの名を受け継ぐとともに、家紋〝下がり藤〟の花言葉「おもてなし」「忠実に努める」にも由来する。
「まずは日本の方に、魚ひとつでこんなに違いが出るんだという面白さを知っていただきたい。背伸びをせず、目の前のお客様に誠実に向き合うことで、江戸前寿司の魅力を広めていけたら嬉しいですね」

RESTAURANT INFO店舗情報
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鮨 忠
(すし ただ/築地)電話番号: 03-6264-2466
住所: 東京都中央区築地2-5-7 ACN築地2丁目ビル 1F
▶︎MAP営業時間: 18:00~22:30
※18:00〜20:30〜の2部制休業日: 日曜日、不定休
鮨 忠の「おまかせコース(30,800円/人)」を
抽選でプレゼント
●ご利用期限:2026年2月28日(土)迄
※除外日あり、お飲み物代は含まれません
下記応募フォームからご応募ください。
応募締切:2025年10月5日(日)