営業・法務・顧客対応・採用・情報整理など、各企業が抱える様々な課題に対しての解決に特化した新サービスが続々と登場し、まさに日進月歩の進化を続けている。
本特集では、企業の課題解決につながる最新のAIソリューションの紹介と、導入の勘所を整理した。
AI人材の育成でビジネスを加速させる AI SwordのAI戦略
AI活用が当たり前になる一方で、多くの企業が直面するのは「何から着手し、誰がリードするか」という壁だろう。AI活用支援会社である株式会社AI Swordは、独自のコミュニティ運営やAI人材領域の事業を手がけるほか、AIを意思決定に取り入れる体制づくりにも取り組んでいる。同社でCTOを務める若井信一郎氏に、AI導入を成果につなげるポイントと、その先の展望を聞いた。
お話を伺ったのは
株式会社AI Sword CTO 若井 信一郎氏
1993年生まれ。大阪府出身。理系大学を卒業後、デジタルマーケティングのベンチャー会社に新卒で入社。数々の技術系イベントへの登壇やコミュニティの立ち上げに携わる。株式会社ハマヤから部長職としてオファーを受け入社。社内のDX化を成功させ、後にCTOに就任。その後AI SwordのCTOに。
――まず、会社の事業概要からお聞かせください。
若井信一郎(以下若井):AI Swordは、「AIで課題を解決したい」企業や経営者に、AIソリューションを提供する会社です。意思決定層から相談が多く、セールス&マーケティング領域を中心に、戦略立案から実装、体制づくりまで支援します。現在は、経営者コミュニティ「WEB300」と、AI人材を育成・提案する「AIタレントエージェンシー」を軸に展開しています。
――WEB300とはどのような取り組みでしょうか。
若井:経営層向けのコミュニティで、ここを起点に複数のイベントを運営しています。大企業の要職の方とディープテック系スタートアップのCEOが交流しやすい場づくりを意識していて、今年2月には「WEB300カンファレンス」を初めて開催し、約500人に参加いただきました。これまでのイベント参加者は3000人ほど、法人では300社ほどになります。
運営で大事にしているのは、コミュニティを〝売り込みの場〞にしないこと。参加条件や審査を設け、品質を保っています。
――続いて、AIタレントエージェンシーについて教えてください。
若井:AI人材を育て、企業へ提案・提供していく仕組みです。背景にあるのは、とにかく「人材が足りない」という悩み。特に大企業ではAIの専門部隊(AI CoE)を立ち上げる動きが進む一方で、立ち上げをリードできる人や実装を担える人が不足しています。
弊社の人材確保はリファラル(紹介)が中心です。AIを学びたい人や、エンジニアとして働きながらAI領域にまだ深く関わっていない人に声をかけ、私自身も教える立場で関わりながら育成しています。実際に、業界知識とAIスキルを併せ持つ人材の提案で、AI CoEの立ち上げが前に進んだ例もあります。
――いま、AIを支援する会社は増えていますが、AI Swordさんが選ばれている理由は何だと思いますか?
若井:営業・マーケの文脈で各業界のトップ層とつながれる土台があり、そこにAIを掛け合わせて提供価値を高められる点が特長だと思います。
もう一つはガバナンス。戦略や戦術は一旦AIに立てさせ、人が検討・調整して意思決定する「AI社長(AI CEO)」という体制をつくっていますが、倫理・セキュリティ・ガバナンスは欠かせません。そこで「CAIO評議会(最高AI責任者)」を立ち上げ、社内で知見をアップデートし続けています。例えばセキュリティ面では、AIは繰り返し強く求められると判断が揺らぐケースもあるため、権限管理などの〝ガードレール〞が重要になります。

株式会社 AI Sword のCEO AI・プレジデント・東京(AI President Tokyo)
――最後に、AIを使いこなすために必要なことと、今後の展望を教えてください。
若井:日本ではAIやDXの進化が「人員削減」などの文脈で語られがちですが、本来AIは作業効率を高めて生みだした時間で、新たな価値を創造するために使うものです。アメリカではその考え方が既に定着し、〝共存〞が進んでいます。AIは人の価値を高め、顧客満足を上げるために使われるべきものです。ただ、AI推進は生ぬるくありません。DXも同様ですが、AIで成果を生み出し続けていくには時間も手間もかかりますので、経営者や決裁者、推進者の〝覚悟〞が必要です。泥臭く現場を理解して調整し、試行錯誤した先に価値が生まれます。未来は一つに決め打ちできないので、複数のシナリオを想定し、どんな未来になっても耐えられる戦略を練ることが大事だと思います。その上で、人間に残る価値は「感性」だとも感じています。今、将棋はAIの方が強い時代です。それでも、将棋人口は増えています。それは藤井聡太さんなどの人気棋士への興味はもちろんですが、人との対戦にこそ将棋の魅力を感じるからです。
今後1〜2年は、AIセールス&マーケの領域でナンバーワンになることを目標に、学びと体験の場づくりなど、AIをより身近にする取り組みも進めていきます。
株式会社AI Sword
WEB300 Community

- 課題
- 経営層同士の出会いが限られ、協業・商談が進みにくい
- 解決
- 経営者コミュニティで継続的に接点をつくる
- ポイント
- 審査制で〝売り込みの場〞を避け、場の質を担保
- 効果
- 意思決定が早まり、協業・商談の前進が速くなる
攻めのAI ~顧客接点・営業・電話~
顧客接点は〝人の力〞に依存しやすい領域。通話・商談のデータを可視化し、一次対応の自動化も進めることで、売上機会と現場負荷の両方を改善する。
AI解析で通話業務を改善するクラウドIP電話
電話営業時、メモゼロで簡単に次の商談へ
「MiiTel(ミーテル)」は、電話営業やコールセンターの通話をAIで解析・可視化するクラウドIP電話ソリューション。2018年10月に提供を開始し、2025年5月時点で累計ユーザー数11万人、導入社数3000社を突破した。特徴は大きく3つ。一つ目は、通話を自動で録音し、文字起こしや要約までを〝残せる〞こと。電話中にメモを取り切れなくても要点を後から確認することができ、記録や引き継ぎが楽に行える。二つ目は、会話を指標で〝見える化〞できる点だ。話す/聞くのバランスや沈黙の多さなどを手がかりに、感覚ではなくデータで改善点を見つけることができる。三つ目は、録音や文字起こしを検索して必要な部分だけを共有でき、顧客管理(CRM)や営業支援(SFA)と連携し履歴として残せる。管理者はダッシュボードで発着信量や応対状況を把握でき、聞くべき通話を絞って確認することが可能だ。トラブル時の「言った/言わない」の確認にも役立つ。一般的に電話営業は、通話中のメモと通話後の入力が負担になり、忙しいほど抜け漏れや後回しが起きやすい。「MiiTel」なら通話の内容と要点を残せるため、電話を切った直後に振り返って次の一手(資料送付や再架電)を判断しやすくなる。「MiiTel」は、オンライン会議や対面商談の録音・解析にも対応している。例えば、お客様との店舗でのやりとりをコールセンターでも共有し、たらい回しを防ぐといった対応も可能だ。
株式会社RevComm
MiiTel

- 課題
- 商談品質が属人化し、改善が経験則に頼りがち
- 解決
- 通話・商談データを解析し、営業/CSの改善点を可視化
- ポイント
- 評価指標(良い会話の定義)を決めると活用が進む
- 効果
- 育成短縮/成約率改善/応対品質の標準化
24時間365日、電話応答や予約対応などを
AIに任せるAI電話ソリューション
「アイブリー」は、電話応答やFAQ生成、CRM連携などまでAIが担うクラウド型の対話型音声AIサービス。特徴は、独自の実装技術による高度なAI対話品質と、累計アカウント発行数5万超の運用実績が証明する「実務への即応性」である。ハルシネーションを極限まで抑制し、企業の対外的な信頼性を担保する対話のクオリティも特徴。24時間365日AIが稼働し、予約台帳などと連携しエージェントとしても対応してくれる。例えば飲食店では、電話でのAI対話のみで、予約台帳連携による空席提案から、予約完結までをシームレスに実現する。月額3,317円~といった安価な料金設定で試しやすく、最短即日で導入することも可能だ。また、新サービス「IVRy Data Hub」により、これまでブラックボックスだった通話・メール等の非構造データを一元的に統合・構造化。企業の意思決定を加速させる資産へと変換する。金融機関へや大手企業への導入実績もあり、高度なセキュリティ品質を維持しつつ、総務省定義産業分類中99業種中98業種に対応するなど、あらゆる業界・規模のオペレーションの改善に活用できる。「アイブリー」を使えば、受付を仕組み化して用件を整理したうえで次のアクションにつなげられるため、必要な電話だけ人が対応する形に近づけられる。その結果接客や商談など、〝今やるべき仕事〞に時間をまわせるので、電話対応を守りではなく、機会を逃さない〝攻めの顧客接点〞に変えられる。
株式会社IVRy
アイブリー

- 課題
- 電話一次対応に時間が取られ、現場が回らない
- 解決
- 対話型音声AIに電話応答関連業務を任せる
- ポイント
- 〝仕事につながる電話〞を逃さず、対話データ分析でより現場のリアルを把握可能
- 効果
- 対応工数削減/取りこぼし防止/人手不足対策
守りのAI ~法務・情報管理・システム設計~
ガバナンスや法務は、ミスが許されず人手も限られがち。
契約審査や社内AI活用の〝設計〞をAIで支え、リスク低減と意思決定の速度を両立する。
契約審査を〝標準化〞し、
契約書の見落としを減らす法務AI
「LegalOn Cloud(リーガルオン クラウド)」は、契約書レビュー(契約審査)をAIで支援する法務AI。前身となる契約書レビューAI「LegalForce」は2018年8月20日にオープンβ版として誕生。そして2024年4月15日に、契約審査にとどまらず法務業務全体を支援する現在のAI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」として提供を開始。有償導入社数はグローバル8000社を突破している(2026年1月末)。特徴は大きく3つ。一つ目は、契約書をアップロードすると、不利条項や抜け漏れの候補を自動で拾ってくれる機能だ。重要度付きで整理されるので、読む順番に迷いにくく、急ぎ案件での見落とし不安なども減らせる。二つ目は、指摘だけでなく、修正文案や交渉コメントのたたき台まで出せる点だ。条文修正を後押しする機能もあり、差し戻しの往復や文面づくりの手間を減らしやすい。三つ目は、自社基準(プレイブック)を取り込み、判断のブレを抑えられる点。部署のレビュー品質をそろえ、新人のキャッチアップやナレッジ蓄積にもつなげることができる。通常、契約審査は、急ぎで回ってくる案件が多くなりがちだが、見落としを恐れて戻しに時間がかかったり、担当者の経験差で結論が変わったりしがちだ。「LegalOn Cloud」なら論点整理から修正案づくりまでがおこなえ、事業スピードを落とさずに、〝守り〞を固めたい場面で力を発揮してくれるはずだ。
株式会社LegalOn Technologies
LegalOn Cloud

- 課題
- 契約審査が属人化し、抜け漏れ・工数が増える
- 解決
- 契約書のレビューや条文チェックをAIで支援
- ポイント
- 契約書テンプレ・判断基準を整えるほど精度が上がる
- 効果
- 審査時間短縮/リスク低減/ナレッジ共有
部門毎の課題を解決し仕組み化させ、全社へ展開
理事明白で自社が求める回答を生成するAI
「Kasanare(カサナレ)」は、社内問合せ対応や定型文書作成、ナレッジ検索などを〝業務にフィットするAI〞として構築できるエンタープライズ生成AIソフトウェア。2023年4月に提供を開始し、50以上の企業プロジェクトで活用されている。特徴の一つは、社内マニュアルやFAQなどを学習させ、質問への回答と要点整理までを自動化できること。検索の手間を減らしつつ、データ追加・修正の運用負担を最大90%削減することができるという。独自の「テクノロジーピース」で既存システムとの連携や認証、セキュリティ要件に合わせて組み替えが可能だ。既存の社内マニュアルやFAQ、申請書のひな形などを、今の形のままAIに取り込めるのもポイントだ。さらに、AIに任せる範囲や権限を設計し、複数のAIエージェントを一元管理し、理事明白かつ安全に運用できる。たとえば、部門ごとに独自ルールでAIを運用すると回答の精度や基準が揃わず混乱につながりやすいが、権限や運用ルールをまとめて管理できるため全社で同じ品質を保ちやすくなる。また、問合せ対応だけでなく、社内規程の検索や稟議文の下書きなどにも応用が可能。一般に生成AIは、情報が散らばると回答がぶれたり、誤答が発生してしまう。「Kasanare」なら社内ルールとデータを土台に整備できるので、守りを固めながら業務を速く回すことができる。部署を横断した情報共有などで、しっかりとサポートをしてくれる。
カサナレ株式会社
Kasanare

- 課題
- 生成AI運用の社内での情報管理・回答根拠/精度に不安があり定着しない
- 解決
- 業務に合わせたRAG/AIエージェント構築で社内活用を設計
- ポイント
- 参照データの整理により理事明白で高い回答精度が成功の鍵
- 効果
- 問合せ削減/検索・要約の高速化/定着
経営の視界をつくるAI ~採用・会議・意思決定~
人手不足は「採用」だけでなく、採用後の業務負荷にも影響する。
採用・経理の定型業務をAIで軽くし、限られた人員で成果を出す体制をつくる。
採用・育成・活躍支援を担う対話型AI
応募数増加、工数削減、属人化防止に効果を発揮
「PeopleX(ピープルエックス)」は、採用から育成・マネジメント、定着・活躍支援まで、広く人事課題を解決する複数のAIサービスを提供している。主力の対話型AI面接サービス「PeopleX AI面接」は、書類選考~一次面接を24時間対応の対話型AI面接官に任せられる点が特徴で、面接内容は録画・文字起こしされ、自動で評価レポートまで生成。ムラの無い評価をおこなってくれる。日程調整のハードルを下げ、これまで取りこぼしていた候補者との接点を増やすことも狙いの一つだ。育成領域をカバーする「PeopleX AIロープレ」は、営業・接客・管理職など様々な内容の実践的なロールプレイングをAIとの対話でおこなうことが可能で、的確なフィードバックで育成コスト削減を狙える。加えて、従業員一人ひとりの本音をAIとの面談で引き出すことにより、組織の課題や改善のヒントを可視化し、納得感のある経営判断につなげることのできる「PeopleX AI面談」も提供。さらに、人材紹介領域では、求職者の一次対応から選考対策までを一つのサービスで実行する「PeopleX AI Copilot for 人材紹介」が用意され、属人化や工数の課題に対応。求職者の離脱を防ぎつつ、担当者が面談やクロージングに集中できる体制づくりを支援している。いずれのサービスも、AIと、人と話しているかのような自然な対話ができるのが特徴。複数のAIサービスによる総合的な支援が、人手不足時代の人事業務の再設計に貢献する。
株式会社PeopleX
PeopleX AI面接

- 課題
- 採用業務が多忙で、面接準備・評価が追いつかない
- 解決
- 面接支援や評価補助で、採用プロセスを効率化
- ポイント
- 評価基準を明文化すると〝判断の質〞が安定する
- 効果
- 採用工数削減/選考スピード向上/ばらつき低減
社内・社外の情報を収集し一括管理
情報収集を〝組織の武器〞にするAIエージェント
「Aconnect(エーコネクト)」は、ニュースや特許・論文、官公庁資料に加え社内レポートまで、社内、社外の情報を一括で探せるナレッジマネジメントAI。2017年4月に「Anews」としてリリースされ2022年9月にユーザー数1万人を突破した。2025年7月にブランドを再構築し「Aconnect」として提供を開始している。Aconnectの特徴は大きく3つある。一つ目は、国内外約3万5000サイトのニュース等から必要情報へワンストップでアクセスできること。情報源が散らばっていても、素早く当たりを付けられる。社内ファイルも含めて横断検索が可能で、AI要約に加えて該当箇所をピンポイントで示すこともできる。二つ目は、興味関心を学習して毎日おすすめを届け、取りこぼしを減らすこと。注目テーマの拡散や、社内で詳しい人(知見者)を見つけて部門間での連携につなげられる。三つ目は、調査エージェントなど生成AIで調査・整理を支援すること。記事や資料を根拠付きでまとめ、事業アイデアや技術の論点整理まで前に進めやすく業務サポートをしてくれる。一般に、新規事業や研究開発の探索では、情報源が散らばり収集と要約に時間が溶けがちで、同じ調査を部署ごとに繰り返しおこなうなどの無駄が出る。「Aconnect」なら検索・要約・共有を一括管理でき、発見した根拠もチームの資産として残しやすくする。市場の変化を素早く捉えて意思決定を加速したい場面で力を発揮してくれるソリューションだ。
ストックマーク株式会社
Aconnect

- 課題
- 情報が多すぎて、調査・整理に時間がかかる
- 解決
- 社内外情報を横断し、収集・要約・指示出しまで支援
- ポイント
- 追うテーマ(業界/競合/技術)を決めると精度が上がる
- 効果
- 調査時間短縮/論点整理/経営判断の高速化