厳選素材と手作りにこだわる「絶品」和菓子
Photographs_HIDE NOGATA.
文久元年(1861年)、日本橋堀江町(現小舟町)で創業した清寿軒は、江戸時代には大名家に、明治から昭和にかけては花柳界に愛用され、現在もその味を求めて連日長い列ができる、和菓子の銘店だ。
この150年の歴史をもつ店で、売り切れ必死の人気を誇るのが「大判どら焼き」だ。厳選した北海道十勝産の小豆に、あっさりとした味わいの白ザラメを加え、煮崩れしないようにとろ火でじっくり4~5時間煮込む。それを小豆が潰れないよう手作業で混ぜ仕上げる。皮には純度100%の蜂蜜を使いしっとりと焼き上げ、餡をたっぷりと挟みこんで完成。もちろん、保存料も添加物も不使用なことはいうまでもない。そしてその味だが、とにかく餡と皮のバランスが絶妙で、ズシリと重みを感じるほどに詰まった餡の濃厚な甘みを、香ばしい皮がスッと整え、くどさを感じることもない。見た目や味は男性的だが、素材にこだわり、手作りを貫くその味は、まさにどら焼きの王道、伝統の味であり、女性でもサラリと食べきれてしまうはずだ。
シンプルで誰もが知る和菓子だからこそ、どこにも無いオリジナリティを追求する。そんな店主の想いが詰まったこの大判どら焼きは、大切な方への手土産品として選ばれることも多いそうだ。また、ここでしか味わえない作りたての味を求めて、遠く北海道から足を運ぶ客もいるというから、その人気ぶりがうかがえる。江戸の町で創業し、今も変わらず愛され続ける老舗和菓子店自慢の逸品。その歴史を裏切らない深い味わいを求めて、店には今日も長い列が出来ている。