毎日使うものこそこだわりたい食事がより楽しく豊かになる箸
Photographs_HIDE NOGATA.
毎日の食事に欠かせない箸。箸を使う国はアジアに複数あるが、純粋に箸のみを使って食事をする作法が確立されているのは日本だけだといわれている。そんな私たちの生活に欠かせない箸だが、意外とこだわりを持って利用している方は少ないような気がする。食材や器にはこだわったけど、お箸や割り箸にはあまり気を使っていなかった…。思い当たる方はいるはずだ。せっかく箸文化がある国に生まれたのだから、もっとこだわりの箸を持っていても良いのではないだろうか。
例えば、この箱根寄木細工箸。通常、箱根寄木細工の箸は、寄木の表面を削ったシートを箸に貼り付けて作るが、これは寄木細工自体を箸の形に削り出したもの。寄木細工を箸状に削り上げる加工は寄木細工職人にも難易度が高いため、わざわざ香川県の欄間職人にその加工を依頼して完成させたという逸品なのだ。
この箱根寄木細工箸は、明治43年に創業した箸専門店「はし藤本店」の4代目、上中康成氏が企画したもので、商品化までに2年を要したという。上中氏は自ら木の産地や生産現場にまで足を運び、材料の特性、作り手の思いまでを汲んだ商品作りで、日本人のみならず多くの外国人にもファンを持つ“箸のプロフェッショナル”だ。
色や形、重さ、持った時のしっくり感、箸が完成するまでのストーリーなど、この箱根寄木細工箸のようなこだわりの箸を手に入れてみてはどうだろう。それは、毎日の食事をより豊かなものにしてくれる、ちょっと贅沢な大人の楽しみになるに違いない。