ラグジュアリーブランドや高級レストラン、映画館などがひしめく銀座・京橋エリア。その一方、このエリアは老舗の画廊やギャラリーが数多く集まる〝アートの聖地〟でもある。ショッピングや食事の合間にアートスポットを探索して、自分の感性に合うアート作品を発見してはいかがだろうか。Photographs_YUSUKE UCHIDA, TAKASHI KOBAYASHI. Edit&Words_POW-DER
Art Gallery
銀座・京橋の画廊巡りで知的なひとときを楽しむ
銀座・京橋にはたくさんの画廊があり、いずれもオーナーの好みで絵画を展示・販売している。画廊自慢のコレクションを眺め、気に入れば購入もできる。一枚の絵画が人生を豊かにするのだ。
銀座の画廊を巡ると人生が豊かになる
ショッピングに食事、時には映画を観たりと、いわゆる〝銀ブラ”を楽しむ人でも、銀座で画廊やギャラリーに入った経験のある人は少ないのではないだろうか。実は銀座は日本でも有数の画廊・ギャラリーの集積地なのだが、画廊というと、「気軽に入ってはいけない場所」、「高い絵を買わされる…」といった、負のイメージによって近寄りがたい存在になってしまっているのだ。
「いやいや、そんなことはまったくありませんよ。洋服や靴のお店と同じように、気軽に入っていただいて結構です。そして、ゆっくりと絵画を見てください。なにしろ画廊は美術館と違って、絵画を無料で鑑賞できるんですから」と語るのは、『翠波画廊』のオーナー、髙橋芳郎さんだ。
とはいえ、美術の知識が乏しい初心者は、そもそも絵画の鑑賞の仕方がわからない。
「絵画を鑑賞する際のポイントは、シンプルに好きか嫌いかだけ! 絵を見て『あっ、いいな』と感じたら、その絵をじっくり鑑賞し、そしてとても気に入ったのであれば、ご購入いただければいいんです」
一軒目の画廊に「いいな」と感じる絵がなかったら、また違う画廊へ足を運べばいい。各画廊はオーナーの好みを反映した個性を打ち出したコレクションをしているので、数軒回ればきっと自分の好みの絵に出会える……と高橋さんは明言する。
「自分の感性に合った絵を求めて街を歩く時の高揚感。そして、ついに『これだ!』という絵に出会った時の感動。それが画廊巡りの楽しさであり、それを味わえるのが銀座という街の特色なんです」 日本屈指のアートスポットである銀座・京橋エリアで、気軽に画廊やギャラリーをのぞいてみる。そんな銀ブラの新しい楽しみ方で、人生をより豊かにしてくれる作品を探してみてはいかがだろうか。
翠波画廊
住所:東京都中央区京橋3-6-12
TEL:03-3561-1152
営業時間:平日・土曜10:00〜18:00
休日:日祝
URL:https://www.suiha.co.jp
PROFILE
髙橋芳郎さん
翠波画廊のオーナー(株式会社ブリュッケ代表取締役)。「ヨーロッパのエコール・ド・パリや現在活動中の作家を中心に、版画から水彩、パステル、グワッシュ、油彩まで取り扱う。また、日本人の才能ある若手画家の育成にも力を入れている。
Modern Art Spot
最新のアートスポットで自分の感性を磨く
銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」は、国内外の新鋭アーティストの作品が集結するアートスポットでもある。斬新かつ個性的なモダンアートが、感性を刺激する。
壁を飾るモダンアートが心と身体を癒してくれる
2017年4月、〝銀ブラ〟の新しいランドマーク『GINZA SIX』が誕生。国内外の有名ブランドが集結し、流行に敏感な人たちの物欲を刺激している。その一方で、世界でここにしかない特別な場と仕掛けでモダンアートを発信し、感度の高い人達のアンテナに触れているのだ。
例えば、館内中央の吹き抜けには国内外のアーティストの巨大で個性的な作品が空間を占拠しているし、エレベーターホールの壁や食品売り場のショーウィンドウなどにもファンシーなアートが飾られている。そして、5階フロアには世界的に評価が高いアート作品や、海外のアートフェアでも活躍する若手人気作家の作品を展示・販売する『アールグロリューギャラリーオブトーキョー』がある(以下、アールグロリュー)。
そこで、アールグロリューの店長の鬼頭康二さんと、美術バイヤーの小川貴司さんにモダンアートの楽しみ方について伺ってみた。
「古典的な絵画は、その絵のストーリーや作家の意図などを詳しく知っておいた方が鑑賞に深みが増しますが、モダンアートはパッと見の印象や自分の感性を優先して楽しめばいいんです。そういう感性を磨くことができるのが、モダンアート鑑賞の魅力と言えるでしょう」と小川さん。
「たくさんの作家とその作品を見て、心が震えるような出会いをしてほしいですね。そうすれば、きっと気に入ったアートを見つけることができます。その機会を提供するのが、このアールグロリューであり、またGINZA SIXなんです」と鬼頭さん。 コロナによって自宅に篭る時間が増えている今だからこそ、部屋の壁にお気に入りのアート作品を飾ってリフレッシュする。日本屈指のアートスポット銀座なら、そんな心の贅沢もきっと叶えてくれるはずだ。
PROFILE
小川貴司さん(左)
鬼頭康二さん(右)
大丸松坂屋百貨店バイヤー美術担当の小川さんは、自分が「良い」と思うアートを求めて国内外を東奔西走し、「美大の卒展にも行きます」とか。また、アールグロリュー店長の鬼頭さんは、「良いアートを銀座から世界へ発信したい」とのこと。