化石燃料をエネルギーとして走る“ピュアエンジン車”は、もはや絶滅の危機、近い将来新車での購入ができなくなるかもしれない。
そんな今だからこそ、絶品ガソリン車を楽しむのはいかがだろうか。
Edit&Words_POW-DER.
あえてガソリン車を選ぶという贅沢
地球規模で環境悪化が問題視されている昨今、各国の自動車メーカーは、電気を使いモーターを駆動させて走るBEVや、モーターでエンジンの駆動力をアシストするハイブリッドモデルを拡充している。なにしろ富と成功の象徴であるロールス・ロイスがBEVのスーパークーペを、スーパーカーの代名詞であるフェラーリがプラグインハイブリッドの超絶スポーツカーをラインナップしているくらいなのだ。
そんな時代に、化石燃料を燃やして走るクルマに乗ることは、ある意味究極の贅沢と言えるのではないだろうか。そこでスポーツカーやSUV、ワゴンなど、現在新車で購入できる7台のピュアエンジン車を厳選。最新技術で環境に配慮しつつも、エンジン音や回転フィール、エキゾーストサウンドなど、BEVやモーターアシスト車では味わえない走る楽しさを持つエンジン車を、ぜひ堪能してみてほしい。
時代を超えてファンを魅了し続けるフラット6は、今こそ乗れ!
モータースポーツシーンで活躍し続けているポルシェも、ラインナップ(SUVとプレミアムサルーン)にBEVを拡充している。
しかし、そのポルシェが生んだRR(リアエンジン・リアドライブ)ピュアスポーツカーである911は、同モデルのアイデンティティとも言える「水平対向6気筒エンジンフラット6」を1964年のデビューから今もなお搭載している。
そもそも6気筒は振動が少ないメリットがあるが、さらに水平対向にすることで低重心化を実現。低回転から高回転までトルクフルかつ、スムーズな出力特性と共に優れたコーナーリングと加速を味わえるのが嬉しい。アクセルを踏んだ分だけ快感に浸ることができるのが魅力の911も、「遂に電動化か!?」という話(あくまで噂)もあるので、ぜひとも今のうちに乗っておいていただきたい。
●エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
●排気量:2981cc
●最高出力:394PS(290kW)/7500rpm
●最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1950〜5000rpm
●トランスミッション:8速PDK
●全長×全幅×全高:4545×1850×1300mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1540kg
●価格:¥18,530,000(税込)
BMWのプライドと技術力が生んだ名作「シルキー6」
BMWの正式名称は「Bayer ische Motoren Werke AG(バイエルン発動機製造株式会社)」だ。社名に発動機、すなわちエンジンと冠するだけあって、BMWはエンジンに並々ならぬ情熱やプライドをかけている。特に、一列に並んだシリンダーがお互いの慣性力や振動を打ち消す「直列6気筒エンジン」に注力。かくして完全にバランスされ、絹のように滑らかに回転する“直6”エンジンは、世界中のスポーツドライビングファンから「シルキーシックス」と称賛されてきた。
そんな名エンジンを搭載したM4はツインターボで武装して最高出力は怒涛の530PS!滑らかさにパワフルさも加わったBMWの最新シルキー6の醍醐味を、このM4 Competition M xDriveカブリオレに乗って、春の日差し、初夏の風を感じながら堪能してほしい。
●エンジン:直列6気筒DOHCツインターボ
●排気量:2992cc
●最高出力:530PS(390kW)/6250rpm
●最大トルク:650Nm(66.3kgm)/2750〜5730rpm
●トランスミッション:8速AT
●全長×全幅×全高:4805×1885×1400mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1930kg
●価格:¥15,940,000(税込)
シーンを選ばずに、安心感に満ちた力強い走りを満喫!
SUVはアップライトなボディパッケージをしているおかげで、床下にバッテリーを搭載しやすい。そのため多くのクルマメーカーが、“E”SUVをラインナップに加えている。このままではエンジン音やエキゾーストサウンドを感じながらアウトドアフィールドを駆けるという、アクティブなドライブが楽しめなくなってしまう……。
そこでお薦めなのが、コンパクトボディにツインターボで武装した2リットル直列4気筒エンジンを搭載するメルセデス-AMG GLA 45S 4マチックだ。
なにしろこの「M139」エンジンは、たった1991ccなのに421PS・500Nmを発揮し、0-100km/h加速は4.3秒、最高速度は270km/h(リミッター制限)を誇る。ユーティリティが売りのSUVの中にあって、ジャンルを超越したパワーは魅力的だ。
●エンジン:直列4気筒DOHCツインターボ
●排気量:1991cc
●最高出力:421PS(310kW)/6750rpm
●最大トルク:500Nm(51.0kgm)/5000〜5250rpm
●トランスミッション:8速AT
●全長×全幅×全高:4445×1850×1585mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1770kg
●価格:¥10,590,000(税込)〜
気持ちの良いエンジンを積んだワゴンでアウトドアへ!
機能的で質実剛健なクルマづくりを信条とするフォルクスワーゲンも、充電航続可能距離618kmを誇るEV「ID.4 Pro」をラインナップ。その一方で、高性能なガソリンエンジン車にも力を入れている。
例えば、最も過酷なサーキットとして知られているニュルブルクリンクでパフォーマンスを鍛えたゴルフ Rがそれだ。何の変哲もないハッチバックボディに、333PSを発揮する2リットル直列4気筒エンジンを搭載。0-100km/h加速4.6秒という胸のすくような走りこそが、このクルマの魅力だ。
しかも今回お薦めするのは、そうした優れた走行性能と共にアウトドアアクティビティも楽しむことができるユーティリティを併せ持つ、ゴルフ R ヴァリアントだ。こんな韋駄天ワゴンでキャンプやBBQに行けば、フィールドまでのアクセスでファントゥドライブを満喫できる。
●エンジン:直列4気筒DOHCターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:333PS(245kW)/5600〜6500rpm
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2100〜5500rpm
●トランスミッション:7速DSG
●全長×全幅×全高:4650×1790×1465mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1590kg
●価格:¥7,129,000(税込)〜
エンジンも走りもモダンにアップデートしたアメリカンSUV
充電ポイントが限られる電気自動車と違い、街中やハイウェイのガソリンステーションで気軽に給油できるのがガソリンエンジン車のメリットだ。これは人里離れた山奥まで入って行く機会が多い、本格クロスカントリータイプのSUVにこそ当てはまる。
そこで、ワイルドなアウトドアライフを過ごしたい人は、アメリカが生んだSUVの先駆け的存在「Jeep」、その中でもタフ&ヘビーデューティの代名詞とも言えるラングラーを選ぶと良いだろう。
スクエアなボディに搭載された2リットル直列4気筒エンジンは、272PSを発揮。低〜中速では豊かなトルクを発生するので、急な坂道や凸凹道を余裕で走破することができる。また、高回転までスムーズに回るので、高速では気持ち良く加速する。燃費も良いから、ぜひロングドライブを楽しんでほしい。
●エンジン:直列4気筒DOHCターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:272PS(200kW)/5250rpm
●最大トルク:400Nm(40.8kgm)/3000rpm
●トランスミッション:8速AT
●全長×全幅×全高:4320×1930×1840mm
●ホイールベース:2460mm
●車両重量:1960kg
●価格:¥8,490,000(税込)※全国限定100台
TEL:ジープジャパン 0120-712-812
圧倒的なドライビングプレジャーが魅力のスポーツサルーン
ジュリア クアドリフォリオのインプレッションは、「気分が高揚する」「すこぶる刺激的!」といった称賛ばかり。その要因として情熱的かつ躍動的なスタイリングが挙げられるが、それよりもアルファ ロメオが“100%自社製”と謳っている(実は設計はフェラーリ)2.9リットルV6エンジンの影響が大きい。2550回転から600Nmの強烈なトルクが発生し、6500回転で510PSという猛烈なパワーが爆発。そのまま7000回転まで痛快に回し切れば、身体中に快楽物質が溢れてくるからだ。
また、ダッシュボードやドアパネルなどに3D仕上げのカーボンファイバーを採用し、さらにスパルコ社製カーボンバケットシートを奢ったコクピットも、ドライバーの気持ちを掻き立てる。こんな五感を刺激するスポーツサルーンに乗れば、毎日が楽しくなるのは間違いない。
●エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
●排気量:2891cc
●最高出力:510PS(375kW)/6500rpm
●最大トルク:600Nm(61.2kgm)/2550rpm
●トランスミッション:8速AT
●全長×全幅×全高:4635×1865×1435mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1710kg
●価格:¥13,870,000(税込)
TEL:Alfa Contact 0120-779-159
往年のピュアスポーツカーがNEWモデルとして復活
1963〜1977年にアルペンラリーやミッレミリアといったヨーロッパのモータースポーツイベントを疾走していた「アルピーヌA110」。それから40年後の2017年に、昔を彷彿させるフォルムを纏った新世代のアルピーヌA110が登場。往年を知るファンならずとも、まさに“今だからこそ乗りたい”ピュアエンジン車に仕立てられている。
コクピットの後ろに搭載された1.8リットルの直列4気筒エンジンは300PSを発揮し、コンパクトかつライトなボディをスムーズに加速させる。ミッドシップならではの軽快なコーナリング性能とエレガントさを併せ持つA110GTの走りは、快適でありながらすこぶる気持ち良い。パドルシフト付7速ATを駆使してスポーツドライビングに没頭すれば、いつものドライブコースがラリーのスペシャルステージに変わることだろう。
●エンジン:直列4気筒DOHCターボ
●排気量:1798cc
●最高出力:300PS(221kW)/6300rpm
●最大トルク:340Nm(34.6kgm)/2400rpm
●トランスミッション:7速AT
●全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1130kg〜
●価格:¥11,500,000(税込)〜