現役時代はボクサーと商社マンの二人の木村悠がいて、どちらかの木村悠が調子が悪いと、もう一方の木村悠で気持ちを切り替えたり。二つの道を持つことで視野も広がりました。本当に成し遂げたい事がある時には、二足の草鞋が役立つこともある。そういう情熱の傾け方が何かの参考になればと思います。
ボクサーの木村悠と商社マンの木村悠が
互いを補い、高め合ったから世界王者になれた。
サラリーマンボクサーとして、NHKでも度々特集を組まれたことのある木村悠さん。
ボクサーと商社マン、二足の草鞋で世界チャンピオンにまで上り詰めたその道程と、
引退後の第二の人生。今、経営者として成し遂げようとする未来への想いとは。
Text_YUKI KATORI.
Photographs_HISHO HAMAGAMI.
PROFILE
木村 悠(きむらゆう)
1983年、千葉県千葉市出身。習志野高校でボクシングを始め、国体準優勝、インターハイ3位。法政大学で全日本ボクシング選手権ライトフライ級で優勝。大学卒業後プロに転向し、その2年後から会社員ボクサーとして活動。2014年に日本ライトフライ級王者、2015年にWBC世界ライトフライ級王者に輝く。2016年に現役を引退し、2020年に株式会社ReStartを設立。
ピンチをチャンスに変えて
世界チャンピオンへ
〝ピンチはチャンス〞というが、木村さんの人生はこの言葉を体現したような体験の連続だ。
最初のピンチは中学時代に遡る。
「ちょうどJリーグがスタートした時期で、中学でサッカーをしていたのですが、ある日練習に出てこない部員を注意したら、逆にボコボコにされてしまって。その時に〝強くなりたい〞と思ったのが、ボクシングを始めるきっかけになりました」
習志野高校でボクシングを始めるとすぐに頭角を現し、国体準優勝、インターハイ3位の成績を収める。進学した法政大学でも全日本ボクシング選手権ライトフライ級で優勝。オリンピック強化指定選手に選出された。と、一見順風満帆だったが、二つめのピンチが訪れる。代表争いに敗れ、オリンピックの出場権を逃してしまったのだ。
「このままじゃ終われないと負けん気が出て、プロ転向を決めました」
そしてここから、世界チャンピオンへの道を歩み始めることになる。
サラリーマンボクサーの
経験を活かして経営者に転身
プロとなった木村さんは、名門帝拳ジムに所属し1年目は順調に勝ち進んだが、2年目に三つめのピンチが訪れる。初めての敗退を喫し、以降負けが続く。ジムから引退勧告もあったという。そんな崖っぷちの状況で選んだのが、〝就職〞だった。
「帝拳ジムのチャンピオンの方たちは皆人間性の高い人ばかりで、上のステージに行くには技術だけではなく、精神力や人間力も鍛えなければと感じていました。そんな時に、就職した学生時代の友人に久しぶりに会って、とても大人になっているのに驚いたんです。会社勤めはこんなに人を成長させるのかと。ならば自分も会社勤めをしようと思い、商社に就職しました。ご想像の通り、ボクシングと会社勤めの両立はとても大変でしたが、時間の使い方が上手くなり、集中力もすごく鍛えられました。そして何より応援してくれる人が増えました。支えてくれる人がいると、諦めない気持ちが生まれますし、やっと辿り着いた世界戦も、ずっと劣勢でピンチだったのですが、〝これじゃだめだ〞と途中でスタイルを切り替えて戦い抜いて、チャンピオンになることができました」
2016年に現役を引退し、約10年勤めた商社も退職。そして2020年に執筆活動や講演活動、オフィスで行うボクシングレッスン「オフィシング」などの活動を行う株式会社ReStartを設立した。
「経営者になってからのピンチはコロナですね。講演やイベントが軒並み無くなりました。〝経営者は動かなければ死〞なので、オンラインビジネスのノウハウを学び、ボクサー時代の減量のノウハウを活かした白米ダイエットのオンライン授業を作って、本も書きました。今後はアスリートのセカンドキャリアを応援する事業も展開していく予定です。スポーツを通じて学んだことを活かして社会貢献するリーダーを育てたいんです。そのためにはまず自分が結果を出して、良い事例にならなければと思っています」
- 2015年11月、WBC世界ライトフライ級王座を獲得した、対ペドロ・ゲバラ戦の一枚。
- 講演では、「二足の草鞋」で学んだこと、アスリート視点での健康法が人気だそう。
株式会社ReStart
住所:東京都新宿区四谷坂町12-17
電話番号:03-4361-5460
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