お客様の眼鏡選びでは、「新しい自分の発見」になる提案をするようにしています。眼鏡を見て、「これを私が!?」と最初は戸惑う方も、かけてみると必ず、「意外とイイね」と言って頂けます。できるだけ多くの人にとっての最適解を持っておきたいので、品揃えは流行を追いすぎないようにもしています。眼鏡でイメージチェンジをぜひ楽しんでください。
眼鏡の面白さは、眼鏡そのものよりも、
その眼鏡をかけた人の印象がどう変わるか、
という点にあると思います。
世界一の眼鏡店と認められた店、グローブスペックスを率いる岡田哲哉さん。
眼鏡業界に新風を吹き込み続け、単なる視力矯正の道具にとどまらない
眼鏡の新たな価値を提案し続ける岡田さんに、眼鏡の面白さ、楽しさについて伺った。
Text_YUKI KATORI.
Photographs_HISHO HAMAGAMI.
PROFILE
岡田哲哉(おかだてつや)
1959年生まれ。大学卒業後、都銀に就職するも早々に退職し眼鏡業界へ。1998年にグローブスペックスをオープン。イタリアで開催される世界最大級の眼鏡展で、2017年に代官山店、2018年に渋谷店が「Bestore Award」を受賞。世界一の眼鏡店となり、現在も世界中から客が訪れている。また、ファッションにも精通し、雑誌の取材なども数多くこなしている。
ファッション性と専門性に
惹かれて眼鏡業界へ転職
眼鏡をファッションとして楽しむ文化を、日本に根付かせた立役者と言っていいだろう。岡田哲哉さんのこの日の眼鏡は、アパレルブランド「OLD JOE」とコラボレーションしたべっ甲の眼鏡。自らデザインしたものだそうだ。そして洋服も同ブランドで揃え、一分の隙もない流石のいでたちである。
「子どもの頃をニューヨークで過ごして、帰国後はずっと青山。最新のファッションが空気のように身近にあって、纏うことが日常の楽しみでした。大学卒業後は父親が堅い職業だったのもあり銀行に就職したのですが、性に合わなくて。それでファッションアイテムとしても面白いし、実用品として人の役に立てる点もいいなと思って、眼鏡業界に転職しました。働きながら眼鏡の専門学校に通って、アメリカの専門資格も取得して、まず技術を磨きました。今でも技術セミナーには定期的に通っていますが、ファッションとして眼鏡を楽しむ前に、快適に見えなくてはいけませんからね。午後になると目が疲れる、暗くなると見え難くなるという相談をよく受けますが、そのほとんどは乱視や斜位などが正しく矯正されていないのが原因です。眼鏡のプロですから、そういう悩みの解消は大前提ですからね」
世界を舞台にした会社経験が
グローブスペックス誕生に続く
「最初の会社でニューヨークに赴任したのですが、勤務していた店が移転することになり、元の店の賃貸契約が切れるまで店を自由にしていいと言われたんです。これはチャンスと思い、バーニーズ・ニューヨークやバーグドルフ・グッドマンなどに行ってディスプレイを研究して、スタッフのコーディネートの提案などもして、眼鏡をファッションとして楽しむニューヨーカーに選ばれる店を目標に試行錯誤しました。この経験は大きかった。理想の店舗運営を試せた訳ですから。結果は、売上げが元の店を超えるまでになりました」
「転職した次の会社では、眼鏡業界の国際ネットワークをつくろうと世界中を奔走しました。眼鏡や眼鏡づくりは国によって様々なので、それらを結び付けたら面白いだろうなと思ったんです。でもそれが会社の思惑と合わなくなり計画途中で頓挫。さすがに泣きました。でも、この時に関わった各国のブランドや眼鏡店のオーナーが、日本で代理店をやってほしい、一緒に店を出さないかと声を掛けてくれて、この人たちとつながる仕事をしようと立ち上げたのが、グローブスペックスなんです」
グローブスペックスは「地球の眼鏡(=世界中からの眼鏡)」という意味だ。その後、グローブスペックスは世界最大規模の国際眼鏡見本市(MIDO)で「Bestore Award」を2年連続受賞する。これは店舗デザインなどの独創性に加えて、優れた買い物体験が出来る店に与えられる、世界一の眼鏡店の称号だ。
「家族やカップルで遊びに行くような、楽しい眼鏡店がいいですよね。これからも世界の素晴らしい眼鏡を揃えて、眼鏡の楽しさや新しい可能性を提案していきたいですね」
- 2017年のMIDO「Bestore Award」授賞式の一場面。
- グローブスペックス渋谷店の店内。世界中から集められたレアな商品も多数揃う。
取材に伺ったスタッフ用にセレクトいただいたアイテム。岡田さんにコーディネートを相談したい場合は予約がおすすめだ。
グローブスペックス渋谷店
住所:東京都渋谷区神南1-7-5 1F・3F
電話番号:03-5459-8377