多様なインテリアに不思議とマッチする美しいスツール
Photographs_HIDE NOGATA.
座るだけでなく、サイドテーブルや飾り台など幅広いシーンで利用できるスツール。洋室はもちろん、和室にも合わせやすいデザインのものが一脚あると何かと重宝する。今回は、そんなスツールの中で特に名作と名高い「バタフライスツール」を紹介したい。
2つの板が向かい合った独特の意匠が、まるで蝶が飛んでいるように見えることから名付けられたこのスツールは、日本の工業デザインの礎を築いた柳宗理がデザインし、1956年に発表された。翌年開催のミラノ・トリエンナーレでは金賞を受賞。また、ニューヨーク近代美術館やルーブル美術館にパーマネントコレクションとして収蔵されており、世界的にも高い評価を受けた逸品だ。
柳宗理は、座面と脚が一体化した複雑な曲面を再現するために、当時まだ一般的でなかった成形合板技術に着目。そこで、高い技術力により、日本で初めて成形合板を実用化した家具メーカー「天童木工」とともに開発をすすめ、約3年の歳月をかけて完成させた。バタフライスツールの合板はわずか7.5mmという薄さにもかかわらず、3次元に成形することで衝撃を吸収するしなやかさがあり、耐久性も抜群だ。また、重さは2.2kgと軽く、持ち運びやすいのも嬉しいポイント。モダンでありながら和を感じさせるデザインは、もともと畳の上での使用を想定していたこともあり、和室での使用も違和感がない。部屋に置いておき、ふと眺めたくなるようなデザイン性の高さも相まって、発売から65年以上たった今もなお、作り続けられている人気アイテムなのだ。
これから新たにスツールを手に入れようと思っている方は、このスツールをぜひ選択肢に入れてみてほしい。