写真提供:滋賀県、農林水産省「うちの郷土料理」
国の登録無形民俗文化財「近江のなれずし製造技術」。
その代表格である「鮒ずし」の底知れぬ旨みに酔いしれる。
その代表格である「鮒ずし」の底知れぬ旨みに酔いしれる。
古来のすしの技術を残す、琵琶湖の恵みが生んだ伝統発酵食
滋賀といえば、琵琶湖が浮かぶ人は多いだろう。その琵琶湖で獲れるニゴロブナを使い、古くから親しまれているのが「鮒ずし」だ。春先に獲れたニゴロブナを塩漬けにし、それを炊いた米に漬け込む「飯漬け」が夏の土用の暑い時期に行われる。そのまま冬まで漬け込み、食べられるのは12月末頃。今では高級品になったが、かつては各家庭で漬けられ、正月や結婚式などのハレの日に振舞われるご馳走だった。さらに、栄養価が高く、発酵で増えた乳酸菌による整腸作用もあることから、体調不良の際は薬代わりに食べられていたほど生活との関わりは深い。初めは独特な香りに圧倒される人が多いが、口にする度にその奥深い旨みの虜になっていく。滋賀を旅するなら、鮒ずしは外せない郷土食のひとつだ。