出汁で素材の旬を味わう和食の原点に触れる店
四谷三丁目の蕎麦懐石「車力門 おの澤」の小野澤 誠さんからバトンを受け継いだのは都立大学の懐石料理「八雲うえず」の上江洲直樹さん。研ぎ澄まされた「出汁」を使った、シンプルで奥深い懐石料理を提供する。
Text_SAYAKA NAGASHIMA. Photographs_MASAMI OHIRA.
刺身の盛り合わせひとつにも、老舗料亭の料理長として培った卓越した技と丁寧な仕事が光る料理人。お店もモダンで魅力的です。
車力門 おの澤|小野澤 誠さんより
Profile

上江洲直樹さん
沖縄県出身。高校卒業後、県内の専門学校に進み料理の道へ。上京し「赤坂 菊乃井」の立ち上げから16年にわたり「菊乃井」三代目主人・村田吉弘氏に師事。2017年から2年間料理長として腕を振るった後に独立し、2021年2月に「八雲うえず」をオープン。
午後早い時間、目黒・八雲通りにほんのりと広がる出汁の香り。「八雲うえず」の一日が、静かに動き出す。
店主の上江洲直樹さんは、京都の名門で赤坂にある「菊乃井」で16年間研鑽を積み、料理長を務めた実力派だ。「10年間は同じ場所で続けなければ技は身につかない」という信念のもと修業を重ね、2021年、40歳を前に独立を果たした。
料理の核となるのは、研ぎ澄まされた「出汁」だ。
「日本料理の真髄は出汁です。『素材の味を生かす』とよく言われますが、出汁をしっかり取れば調味料はほぼ必要ありません。私の料理は油脂類を使わず、調味料も控えめ。食べ疲れのしない味わいを追求しています」
出汁を引くのに使う水には白神山地の天然水のみを使用し、澄んだ旨味を引き出している。加えて、客が寛いで食事を楽しめるよう、内装にもこだわる。
「高級和食店では内装に白木を多用することが多いですが、緊張感をもたらすこともあります。そこで、木曽檜のカウンターで和の趣を保ちつつ、グレーと黒を基調にすることで、適度にリラックスできるセミフォーマルな雰囲気にしています」
料理は完全予約制のおまかせコースのみ。一斉スタートではなく、各人のペースで楽しめるため、一人で訪れる客も多い。「時間を気にせずゆっくりと料理を愉しんでほしい」 という上江洲さんの思いが表れている。
その実力が認められ、ミシュラン一つ星を獲得したが、上江洲さんの姿勢は変わらない。
「星を獲得したことで、お客さまの期待値は確実に上がっていると感じます。その期待を超えなければ感動は生まれません。過去のレシピをなぞることなく、素材の組み合わせや調理法に意外性を加え、常に新たな驚きを提供するようにしています」
和食の基本に忠実でありながら、進化にも余念がない。訪れるたびに、新たな発見と感動をもたらしてくれる一軒だ。

RESTAURANT INFO店舗情報
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八雲うえず
(やくもうえず/都立大学)電話番号: 03-5726-9359
住所: 東京都目黒区八雲1-3-9
▶︎MAP営業時間: 18:00~(完全予約制) 休業日: 不定休 ※サービス料10%
八雲うえずの「季節の懐石(21,000円)」を抽選でプレゼント
●有効期限:2025年8月31日(日)
※除外日あり、お飲み物代は含まれません
下記応募フォームからご応募ください。
応募締切:2025年3月30日(日)