TOP Gourmet 水たき玄海|新宿

東京グルメバトン VOL.121

水たき玄海|新宿

身も心も温まる 乳白色の絶品水たき

「日本橋いづもや」の岩本公宏さんからバトンを受け継いだのは、 まもなく創業百年を迎える、新宿の水たき専門店「水たき玄海」の 矢野賀也さん。創業当初からの味を受け継ぎながら革新を続け、 客に愛される渾身の一杯を提供している。

Text_CHIAKI KANAZAWA. Photographs_MASAMI OHIRA.

東京で一番好きな水たきのお店です。白く濃厚なスープを一口飲むだけで、鶏がこんなに美味しいものかと驚かされます。もう、完全に脱帽です!
日本橋いづもや|岩本 公宏さん

Profile

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矢野 賀也さん

暁星高校卒業後、獨協大学経済学部で学ぶ。玄海を営む家の一人息子として生まれ、幼少期から厨房を遊び場に育った。2012年、株式会社玄海代表取締役社長に就任。かねて「物書きになる」という夢を持ち、会社の理念や100周年に向けた記念誌を書くことを通じて、夢を形にしていきたいとのこと。

昭和3年、九州出身の創業者・矢野廣雄が品川に構えた店から「水たき玄海」の歴史が始まる。

「子どもの頃から玄海の水たきがこの世で一番おいしいものであり、それを作る料理人は魔法使いだと思っていました」

そう顔をほころばせながら語るのは、三代目・矢野賀也さん。まもなく創業100年を迎える玄海には、これまでさまざまなドラマがあったそうだ。

「開業当時は東京にまだ料理店が少なく、政府や軍閥の関係者、各界の著名人などが足繁く通っていたそうです。二・二六事件の謀議も、当時品川にあった玄海の店舗で行われたという話も伝わっています」

激動の時代、戦災で建物を失ったこともある。それでも店名の由来、〝玄界灘〟のような強さで乗り越え、昭和四十一年に本店となるビルを開業。時は高度成長期。連日の宴会予約に対応するため、200名を収容可能な大宴会場も設けられた。

時代を超えて愛される玄海の水たきは、独自の「吹きこぼし製法」による、臭みのない深いコクのスープが特徴だ。こだわりの「伊達鶏」はジューシーでホロホロの骨付き肉と肉団子で。そんなうま味が凝縮されたコラーゲンたっぷりのスープは、滋味深く感動的ですらある。ちなみに、水たきはコース料理のメインとして提供されるので、旬の料理や好みのお酒とともに、じっくりと楽しんでほしい。

「私たちは、食材の『材』を『財』と考え、特に玄海の味を支える鶏を財産として大切にしています」

新宿秋の風物詩「鶏供養」は、玄海が発祥だ。もともと10名ほどで始めた供養は、今では毎年300人以上が参加する新宿の一大イベントとなっている。

「生産者を支えたいという想いと、日本の農業への危機感から、持続可能な食文化への取り組みも行っています」

感謝と伝統を大切にしながら、常に新たな挑戦を続ける玄海。その愛情と情熱が、今日も訪れる人の心と体を温めている。

矢野 賀也さん

RESTAURANT INFO店舗情報

  • 水たき玄海
  • 水たき玄海
    (みずたきげんかい/新宿)

    電話番号: 03-3352-3101
    住所: 東京都新宿区新宿5-5-1
    ▶︎MAP
    営業時間: 【平日】16:00~21:00(最終入店19:30)
    【土日祝】11:00~21:00(最終入店19:30)
    休業日: 年末年始(12/30~1/5)、ほか月2回程度
    不定休

 

※2026年11月3日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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