夏色に染まった北海道の奥尻島、利尻島は一段と輝き、美しさを増す。クルーズ客船「にっぽん丸」の洋上時間と島時間。ごちそうは旬の味覚と大自然。願ってもない絶妙の組み合わせだ。出かけよう、待ちに待った、とっておきの旅へ。

絶景と旬の味に出会う、日本海最北の島旅

　湧水のごとく澄みわたる、高い透明度を誇る海。エメラルドグリーンにきらめき、さながら南洋の秘境をも思わせるその海の色は「奥尻ブルー」。ここは北海道の離島である。冬場はシベリアから強風が吹き込み、荒波が猛然と打ち寄せる時もある。しかし、夏の日本海は一変する。穏やかな表情を見せる豊かな海は、島の人たちに恩恵をもたらし、訪問者もまたその恩恵にあずかる。

　奥尻島ではアワビ漁に続いて7月中旬からウニ漁が始まる。地酒や地元の白ワインと共に、獲れたての魚介を堪能できる絶好の季節だ。グルマン、愛飲家にはこたえられない至福の島時間の到来である。

　海岸に点在する奇岩群は、太古の地殻変動とシベリア由米の風波が長い年月をかけてつくり上げた。中でも、アーチ状の「なべつる岩」は奥尻島のシンボルで、人気の撮影スポットでもある。アングルを工夫して、指で鍋つるをぶら下げているような作品がつくれたら大成功だろう。

　島の夏は釣りやキャンプ、カヤック、サップなどで遊ぶ人たちで賑わう。うまいもの目当ての人たちもやってくる。奥尻島は日本海が育んだ知られざる「宝の島」なのだ。

●奥尻島

日本海に浮かぶ人口約2,500人の島。 島内の7割は森林で、大自然がもたらす豊富な海の幸が魅力だ。

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  奥尻のシンボルといわれる奇岩・なべつる岩。

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  北海道南西沖地震の記憶を伝える「奥尻島津波館」。今年は震災から30年の節目の年だ。

凛々しく美しく、豊かな自然に包まれた楽園

　島にそびえる利尻富士はいつ見ても凛々しい。周囲に深い緑と花の原野を従え、湖沼は鏡のように、その端正な容姿を映し出す。火山島の荒涼としたイメージとは異なり、豊かで瑞々しい大自然に抱かれている。季節や時間によって怒ったり笑ったり澄ましたり、赤くなったり白くなったり。眺めているだけでも飽きない。

　夏、利尻島も漁の季節を迎える。浜辺には昆布の絨毯が敷かれる。昆布干しは利尻の風物詩だ。敷き詰められた黒褐色の帯は、太陽の加減でさまざまな色と光を放つ。ウニ漁も本格化する。利尻昆布は高級食材として知られる。それを食べて育つのが利尻のキタムラサキウニや工ゾバフンウニである。そんなウニはうまいに決まっている。

　オタトマリ沼や姫沼に映る利尻富士をとらえれば、美しい絵ハガキの一枚が完成する。島の自然とじっくり対話したければ、日本百名水の「甘露泉水」を訪ねてのハイキングに出かけるのも一案だ。

　せっかくここまで来たのだ。隣の礼文島を日指すのも選択肢の一つだろう。フェリーで片道わずか40分。運が良ければ、島最北端のスコトン岬から、遠くサハリンを望めるかもしれない。

●利尻島

1,721mの利尻山を中心としたほぼ円形の島で「夢の浮島」とも呼ばれる。地名の由来はアイヌ語の「リイ・シリ」＝高い•島という意味からきている。

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  奇岩が織りなす力強い風景が魅力の仙法志御崎公園。

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  富士野園地では6月下旬から7月中旬にかけてエゾカンゾウの花が一面に広がる。

出発日 2023年7月14日（金）横浜港発着

旅行代金 スーペリアツイン お一人様 369,000円（2名1室利用）

プランコード 1GE6360-0

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にっぽん丸で海時間食と
宴を楽しむ極上のクルーズ

1.丸窓が印象的なダイニング「春日」。 2.ソムリエ田崎信也氏セレクトのワインも揃う。3.目と舌で味わうにっぽん丸の美食

日常を忘れ快適で優雅な時間を

　ベストシーズンの7月、3連休を利用した横浜港発着の5泊6日クルーズ。この奥尻島•利尻島への旅は、スモールラグジュアリーシップのにっぽん丸だからこそ実現できる。クルーズなら夜寝ている間も日的地へと進んでいき、朝目覚めると間近に迫る。飛行機での二島巡りで生じる乗り継ぎ時間や滞在時間と比べると、効率良く各地を巡ることができ、ストレスフリーで身体に優しい旅である。

スイート客室では乗船時にウェルカムシャンパンも。写真右はバルコニー付きビスタスイート。ベッドの上には伝統の花毛布。

スイート客室では乗船時にウェルカムシャンパンも。写真下はバルコニー付きビスタスイート。ベッドの上には伝統の花毛布。

　クルーズ船の旅はコストハフォーマンスが良いと言われるが、クルーズ代金には移動、宿泊、食事、エンターテインメント観覧、イベント参加費用や施設使用料なども含まれている。食事は朝昼夕の三食に加えて夜食など、毎日日替わりだ。

　スーツケースは船まで往復の宅配便を利用すれば、行きも帰りも身一つで動ける。荷物は船の自室に届く。荷解きしてしまえば、いよいよ洋上時間の始まりだ。

　クルーズライフに欠かせないのが、毎日部屋に配られる船内新聞。食事、イベントのスケジュールから寄港地の案内、入出港の時間などの情報が詰まっている。船内でも寄港地でも、折り畳んでポケットなりバッグに入れておくといい。

　夕方からのドレスコードも船内新聞に載る。にっぼん丸は「日中は自由な服装で過ごし、夕方以降は大人の社交の時間を楽しもう」という考え方で、ドレスコードを設けている。難しく考える必要はない。ひとりひとりが肩肘張らず、お洒落を楽しむことで醸成される船内の雰囲気を存分に感じて欲しい。

プールサイドのリドテラスでのんびり過ごしたい。人気の焼き立てパンなど軽食や、ゴディバの「ショコリキサー」や生ビールが無料というのもうれしいサービスだ。

　近年クルーズ船は大型化が進み、10万トン以上がスタンダードになってきた。それに比べれば2万トンのにっぼん丸は小型船の部類に入るが、小回りが利くのは大きな利点だ。寄れる港は大型船に比べ圧倒的に多く、離島めぐりのようなユニークなコースが組める。そしてなによりも、乗客ひとりひとりに対して、細やかなところにまでスタッフが気配りできるのもスモールラグジュアリーシップの良さである。

　にっぼん丸の食事は乗客から評判が良い。寄港地で新鮮な魚介類を仕入れて提供したり、旬の食材を使った繊細な味付けにこだわったり、彩り鮮やかな盛り付けで楽しませてくれたりする。これができるのも、にっぽん丸が得意とするおもてなしの一つである。

　非日常を存分に楽しめるにっぽん丸でのクルーズライフ。北へ針路をとり、幸の島と夢の島の二島巡り。とっておきの旅はすぐそこだ。

夜は「ホライズンバー」でグラスを傾けたい。にっぽん丸オリジナルカクテルも。多少飲んでもベッドまで歩いて数分だ。