TOP MAGAZINE特集 スマホ&PC疲れをリセット デジタルデトックスで整う

スマホ&PC疲れをリセット デジタルデトックスで整う

圧倒的な利便性で、ビジネスはもちろんプライベートでも、24時間私たちの生活に寄り添う存在になったデジタルデバイス。しかし一方で、過度の依存や長時間使用による心身への悪影響も確認されている。
今回は「デジタルデトックス」という考え方に改めてスポットを当てて、デジタルデバイスとの付き合い方、心身のケアについて考えてみたい。

脳にも心にも目にも優しい
デジタルデトックスのすすめ

スマホのアラームで目覚め、そのまま通知をチェック。通勤電車でネットニュースやメールを確認。会社では1日中PCで作業をして、帰宅後も寝るまでSNSに反応したり動画を見たり……。私たちは、いつの間にか24時間通知を待ちわびる「待機状態」に慣れ、目や脳、そして心が休まる時間を削って生きている。
それは眼精疲労や頭痛に肩こり、集中力低下や不眠といった症状になって表れることも。PCやスマホから離れ、心身のバランスを取り戻す「デジタルデトックス」について、改めて考えていこう。

「デジタルデトックス」について、改めて考えていこう。

必要以上に見ていないかまずは利用時間の確認から

30~50代のAFFLUENT世代はどれだけ〝デジタル漬け〟なのか。総務省の調査※1によると、1日のインターネット利用時間(平日)は30代で3.8時間、40代で3.3時間、50代で3時間。その利用内容は、平日・休日ともに「動画投稿・共有サービスを見る」が最も長く、平日は「メールを読む・書く」、休日は「SNSを見る・書く」が次に長くなっている。
天気や交通情報、決済や行政手続きなどの利便性・公共性の高いサービスに加え、動画やゲームといった常習性のあるサービスまで、デジタルデバイスが生活に欠かせないツールであることは間違いない。しかし、本来他のことに費やすべき時間を削って、スマホやPCに依存する時間の使い方をしてはいないだろうか。
株式会社クロス・マーケティングの調査※2によると、自分は「暇さえあれば無意識にスマホを操作している」スマホ依存症だと思う人は30代、40代で5割、50代で4割を超えている。
実際に、毎日自分がどれくらいの時間デジタルデバイスに依存しているのか、一度確認してみてはどうか。「これは使わなくても良い時間かも」という気付きがあるかもしれない。

7割が目の疲れを感じるがデジタルデトックスには未着手

30代の約6割、40代、50代の7割以上が「目が疲れている」と感じ、それは「スマホやPCの画面を長時間見ているため」だと感じている。「目のために良いと思う行動は何か」を聞いた自由回答では、「遠くの景色や緑を見て目を休ませる」「デジタルデトックス」など、デジタルデバイスから離れる時間をつくるという声が多かった。
しかし、デジタルデトックスの内容まで知っている人は40代で約24%にとどまり、実践している、経験したことがある人に至ってはわずか7%という実態だった。

スマホやPCと距離を置き自分の時間を取り戻す

一定時間デジタルデバイスから離れるデジタルデトックスは、目だけでなく脳を休ませ、集中力の回復や睡眠の質向上にも寄与するとされている。
そしてシンプルに、スマホやPCの利用に費やしていた分の時間が自由になるため、読書や趣味、スキルアップなど、新たな時間の使い方につながる。
時にはデジタルデバイスとの向き合い方を振り返り、少しだけ距離を置いてみてはどうだろうか。そうすることで、自分の時間を取り戻すことのメリットを改めて感じることができるに違いない。

主なメディアの平均利用時間(平日)※1

グラフ

「スマホ依存症」の自覚 ※2

グラフ

※1 「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」総務省情報通信政策研究所
※2 「目に関する調査(2025年)」株式会社クロス・マーケティング

デジタルデトックスのメリット
  • ・目の疲れが取れる
  • ・頭(脳)の疲れが取れる
  • ・睡眠の質が良くなる
  • ・気持ちがスッキリする
  • ・ストレスが減る
  • ・安心感が増す
  • ・想像力(創造力)が高まる
  • ・ひらめきが良くなる
  • ・五感がさえる
  • ・幸せな気持ちになれる

※一般社団法人日本デジタルデトックス協会のホームページより

デジタルデトックス イメージ

全部手放すのではなく一時的に距離を置く

デジタルデトックスが有効だとしても、スマホやPCなどを全て断つのは現実的ではない。ならばまずは短い時間から、「デジタルデバイスがない時間」を試していくのが得策だ。
デジタルデバイスを「完全に手放す」のではなく、本当に必要な場面を取捨選択し、不要と思われる時間は「オフ」にする。例えば、睡眠の質低下につながる就寝前の時間はスマホやPCを使用しないなど、自ら決めた時間の中でデジタルデバイスの使用を止めてみる。当然、最初は落ち着かない状況になるだろうが、その時間を少しずつ延ばしていくのがポイントだ。

「ぼうっとする」時間が脳の機能を高める

現代人はデジタルデバイスによって、常に情報にアクセスできる状態にあるため、休息や余暇の時間も情報収集に追われ、リラックスして「ぼうっとする」時間が少ない。実は「ぼうっとする」のは脳にとって大切な時間だということが研究で明らかになっている。「ぼうっとする」間脳は休んでいるのではなく、情報や記憶の整理を行っているのだ。「ぼうっとする」ことが想像力や洞察力に作用し、新たなアイデアが生まれやすくなるという研究結果もある。不要な通知をオフにして、少しでも「ぼうっとする」時間を確保してみてはいかがだろうか。

デジタルデトックスの進め方
  • まずは使用時間を可視化

    スマホなどの使用時間を可視化するには、あらかじめデジタルデバイスに搭載されているスクリーンタイム等の機能が便利だ。ネット検索やSNS、動画視聴などの使用時間を確認し、費やしている時間を把握しよう。

  • 「ながらスマホ」を減らす

    無意識にスマホに触れてしまう環境を減らす。風呂・トイレ・寝室にはスマホを持ち込まない、食事中や家族との時間にはスマホを遠くに置く、1日の中でメールやSNSをチェックする時間や回数を決めるなどが有効だ。

  • 休日はデジタル機器を使わない

    休日は思い切って仕事関係のデジタルデバイスをオフにする。そして、可能な限りプライベートのデジタルデバイスもオフにして過ごしてみてはいかがだろう。PCやスマホに触れない時間をつくることで生まれた時間を有効活用できれば、より充実した一日が過ごせるはずだ。

  • 時間があればツアー参加も

    時間が取れるなら、デジタルデトックスを体験する宿泊プログラムやツアーに参加して、強制的にデジタルデバイスに触れない時間をつくってみるのも良い。宿泊先の自然豊かな環境などに身を置くことで、情報に縛られない心地良さを実感してみるのも良いだろう。

デジタルデトックスで、健康な目を取り戻す

デジタルデバイスの長時間使用で、目には想像以上に高い負荷がかかるという。
注意すべき症状、健康な目のためにできることを医学博士、アンチエイジングドクターとして、眼科、内科、皮膚科など幅広い知識を持つ日比野 佐和子先生に聞いた。

日比野 佐和子先生
医師・医学博士 日比野 佐和子先生

医療法人社団康梓会 SAWAKO CLINIC x YS統括院長、大阪大学大学院医学系研究科未来医療学寄附講座
特任准教授。内科医、皮膚科医、眼科医であり、アンチエイジング医療の先駆者として、基礎研究から臨床研究まで幅広く、最新の再生医療を含む先進的医療に積極的に取り組み、国際的にも活躍している。テレビや雑誌などメディアでも注目を集める。著書は「驚くほど目がよくなる! たった10秒の眼トレ」(三笠書房)、「本当に正しいキレイのつくり方」(SBクリエイティブ)など多数。

「驚くほど目がよくなる! たった10秒の眼トレ」(三笠書房)

目の不調だけではなく全身への影響も

現代のビジネスパーソンには、どのような目の不調が増えているのだろうか。
「代表的な症状としては、ドライアイ、ピントが合いにくい、かすみ目、充血、眩しく感じるなど。これらの症状が進むと、頭痛、首や肩のこりなど、目だけではなく全身に不調をきたすようになります。そうすると集中力が低下し、睡眠の質が低下します。その原因の一つがPCやスマホの長時間使用です。
人は通常1分間に15~20回まばたきをしていますが、画面をずっと凝視しているとそれが約半分以下に減り、その結果として目の表面の涙が蒸発してドライアイになります。ドライアイが進行すると、充血が起こったり、目の角膜に傷ができたりすることもあります。
また近距離で画面を見続けると、目のレンズである水晶体の厚みを変えてピントを調節する毛様体筋の緊張が続き、筋肉疲労が起こってピントが合わせにくくなります。若い世代でもスマホなど目との距離を30センチ以内に近づけて行う作業が続くことで、一時的にピント調節機能が低下し、いわゆる〝スマホ老眼〟と呼ばれる症状を訴える方が増えています」

デジタルデトックスは目のためにとても有効

目の健康を保つためにデジタルデトックスはとても有効だと日比野先生は言う。
「スマホやPCを完全に止めるという極端な方法ではなく、目を酷使し続けない仕組みづくりが大切です。毛様体筋の緊張をリセットするには、1時間ごとに目の休息が必要です。厚生労働省のガイドラインでも、デジタルデバイスを使用した連続作業では1時間作業したら10~15分程度の休憩を設けることが推奨されています。オンラインミーティングなども1時間で区切るようにすると良いですね」

目は健康のバロメーター セルフケアで健康を保つ

スマホやPCの長時間使用で疲れた目を、簡単にケアする方法を教えてもらった。
「日常的にPCやスマホと向き合わざるを得ない環境であれば、効果的に休憩を取り入れながら、簡単にできるセルフケアで目のコンディションを整えると良いでしょう」
目のケアは全身のコンディション管理にもつながると、日比野先生は力説する。
「血液が全身を巡ることで、目は全身とつながっています。眼底には、体内で唯一、直接観察できる血管があります。眼科医はこの血管を診ることで、もし異常が見つかれば、全身の他の血管にも異変がある可能性を疑います。例えば高血圧や動脈硬化、心臓や腎臓への負担などです。眼底検査で初めて糖尿病を指摘されるケースもあります。目は、人が健やかな状態を維持しているかどうかを表すシンボルとも言えるのです。目の健康を維持することは、全身の健康を保ち続けることにつながります。そのためには、デジタルデトックスで目を休ませること、酷使した時には可能な限りセルフケアでいたわりながら、目の健康を保つことが大切です」

要注意の目のトラブル 定期的な眼科受診を

特にAFFLUENT世代の方には、定期的な眼科受診が重要と、日比野先生は警鐘を鳴らす。
「目の病気は気付かないうちに進行します。目は2つあるので、片方に見えない部分ができても、もう片方がそれを補完します。徐々に視野が狭くなる緑内障、糖尿病による網膜症、視野の中心が欠ける加齢黄斑変性、水晶体が濁る白内障など、要注意の目の疾患はたくさんあります。特に緑内障は日本人の失明原因の上位を占める疾患で、初期は全く自覚症状がありません。早期に発見することが重要なので、デジタルデバイスと日々向き合い、目を酷使している働き盛りの40歳を過ぎたら、定期的に眼底検査と眼圧検査を受けてほしいと思います」

目薬の差し過ぎには要注意

ドライアイは加齢による涙の量の減少に加えて、スマホやPCに集中してまばたきが減ることや、特に暑い時期はエアコンによる乾燥なども目の渇きの原因になる。しかし、ドライアイだからと目薬を使い過ぎるのはNG。過度の目薬の使用は目の表面を保護するムチン(潤いを保つたんぱく質)を流してしまい、ドライアイを悪化させてしまうことも。防腐剤入りの目薬は使用回数に注意が必要。一方で、防腐剤を含まない人工涙液は比較的安心して使用できる。症状が続く場合は眼科を受診しよう。

目薬を指す イメージ

毎日できる簡単セルフアイケア

日比野先生おすすめの、毎日できる簡単ストレッチ&セルフアイケアで目のメンテナンスを心がけよう。

1

「グーパーまばたき」で
ウォームアップ

1. 両目の眼球を鼻に寄せるイメージで、ギュッと閉じて2秒キープ。
2. 正面を見てパッと目を見開き、眉毛を持ち上げた状態で2秒キープ。
3. 1、2を3~5回繰り返す。

2

遠近トレーニングで眼筋ほぐし

1. 片手を前にまっすぐ伸ばし、親指を立てる。
2. 親指から一直線先に見える、3mくらい先の位置に目標物を決める。
3. 親指の爪と目標物を1秒ずつ交互にしっかり見る。これを10秒続ける。

3

温めて目の血流をアップ

1. ハンカチくらいの大きさのタオルを用意する。
2. 水でぬらして固く絞り、半分に折って端から丸める。
3. 電子レンジ500Wで1分ほど温める。
4. 閉じた目の上にのせる。

※やけどに注意!

4

肩甲骨まわりを刺激して
首と肩のストレッチ

肩甲骨まわりをほぐすと、目の疲れが和らぐ。円を描くようにひじを回す肩甲骨回しや、ひじを後ろに引いて肩甲骨を引き寄せる肩甲骨ストレッチで、心地良く筋肉をほぐそう。

5

目に良い栄養素は「アントシアニン」と「アスタキサンチン」

ブルーベリーやカシスなどに含まれるアントシアニンは、網膜で得た光を脳に伝える働きを助け、目の疲労感の軽減や視機能の維持に役立つ可能性がある。特にカシスに含まれるアントシアニンは毛様体筋のこりをほぐし、眼精疲労を改善する効果が認められている。紅鮭やエビ、カニなどに多く含まれるアスタキサンチンは、抗酸化作用により、目の健康維持に役立つことが期待されている。これらの栄養素は食事から摂るのが基本だが、サプリメントを上手に活用するのも良いだろう。

6

眼球を押すのは逆効果 
目のまわりのツボを確認しよう

目のまわりをマッサージするのは心地良いが、眼球を直接マッサージするのは避けよう。眼球は繊細で、万一刺激で形状が変化すると、見え方が悪化し、病気につながることもある。目のまわりのツボを確認して、優しく押したり、温めたりしよう。一度に長く押すのではなく、気になった時にこまめに繰り返す方が効果的だ。

7

目に優しいデジタル環境をつくる

デジタルデバイスを使う際には、目が疲れにくくなる環境を整えよう。PC画面と目の距離は最短でも40cmにし、画面の高さはやや見下ろす程度に。画面の明るさは、部屋の明るさと大きな差がでないように設定しよう。スマホは目から30cmほど離すのが理想。画面を必要以上に明るくしないことは、まぶしさや目の負担の軽減につながる。画面を凝視する作業が続く場合は、時々画面から目を離し、遠くを見るクセをつけると良い。室内なら3~4m離れた観葉植物やポスターを眺めるだけでも効果がある。

※2026年7月7日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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