水に身を委ね、風に耳を澄まし、氷や光の表情に遊ぶ。本特集では、五感を満たす都内の〝涼体験〞を厳選。
ホテルのスパや夏麺、江戸切子や風鈴、避暑地やアートまで── 暑い夏を、静かに、鮮やかに潤す大人の涼み方をご案内しよう。
※記載の価格はすべて税込み
整える涼
スパという名の避暑地へ
酷暑の夏、ただ涼を求めるだけでは物足りない。だからこそ、選びたいのは上質なリトリート。プールやトリートメント、静寂な空間が心身の熱をほどき、体の内側から整えていく。洗練と癒しが共存する〝涼〞の居場所で、自分をリセットする時間を。
ザ・ペニンシュラ東京の
プールとトリートメント
皇居外苑と日比谷公園を一望できる全長20mの温水プール。
プールとトリートメントで巡りを整える〝都市の避暑地〞
猛暑の街にあって、ここは別世界。ザ・ペニンシュラ東京の「ザ・ペニンシュラ スパ&ウェルネスセンター」は、強い日差しに火照った体と心を深くクールダウンさせてくれる〝涼のオアシス〞。窓一面に皇居外苑と日比谷公園の緑が広がる全長20mの温水プールでは、水音と景色に包まれながら、朝から夜まで涼やかなリズムで過ごすことができる。
スパエリアには、障子や漆喰を配した和の設えの中、東洋と西洋の叡智を融合させたトリートメントが揃い、熟練のセラピストによる手技が巡りを促す。施術前にはサウナで整い、リラクゼーションルームでクールダウン。体温とともに気持ちも静まり、呼吸がゆるやかに整っていく。
汗ばむ夏の日にこそ訪れたい、都心の真ん中にひっそりと佇むウェルネス・リトリート。〝涼しさ〞とは、ただ冷たいだけではない──静けさに包まれ、五感がほぐれていく癒しの場所がここにある。
暑さを忘れて憩いのひとときが過ごせるプールのオープンエアバルコニー。
雪見障子と木を生かしたインテリアが心地よいトリートメントルーム。
住所: | 東京都千代田区有楽町1-8-1 ザ・ペニンシュラ東京6F(プールは5F) |
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交通: | 東京メトロ日比谷駅A6・A7出口直結 |
営業時間: | 10:00~21:30(プールは6:30~22:00) |
TEL: | 03-6270-2299(スパ直通) |
※トリートメントは要予約。プールはプールアクセス付きトリートメントをご予約の方またはご宿泊の方のみ利用可。
味わう涼
ひんやりと、涼味一献
食べることで涼む──それは、夏を愉しむ大人の知恵。喉を通り抜ける冷製麺、氷に包まれた甘味。見た目、温度、風味のすべてに涼が宿る料理は、体温を静かに下げ、心まで和らげてくれる。
ホテルニューオータニ(東京)の
冷麺
さっぱり酸味を愉しむ「新スッパ冷麺」4,000円。※サービス料別
〝美と健康〞を極めた豪華冷麺「ふかひれあんかけピリ辛豆乳冷麺(ゼンブヌードル使用)」9,000円。※サービス料別
暑さを忘れる、進化系・夏の麺
酷暑に火照る身体を、するりと冷やすひと皿。
ホテルニューオータニ(東京)の中華名店「大観苑」では、8月31日(日)まで「夏のおすすめ麺」が楽しめる。注目は、フルーツトマトや、トマトジュレの酸味と清涼感が際立つ「新スッパ冷麺」と、糖質を抑えた黄えんどう豆由来の〝ゼンブヌードル〞を使用し、ふかひれ×蟹×豆乳で仕上げた「ふかひれあんかけピリ辛豆乳冷麺」。火照った身体にすっと染み入る冷涼な味わいと旨みの余韻。見た目の涼しさだけでなく、食後には内側から温度が引いていくような〝冷やしの体感〞を与えてくれる。盛夏の疲れをそっとほどき、五感で涼を味わう贅沢なひと皿だ。
住所: | 東京都千代田区紀尾井町4-1ホテルニューオータニ(東京)ザ・メイン16F |
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交通: | 東京メトロ赤坂見附駅、永田町駅より徒歩約3分 |
営業時間: | 平日ランチ11:30~15:00(L.O. 14:30)、平日ディナー17:00~22:00 (コースL.O. 21:00 / アラカルトL.O. 21:30)、土・日・祝日11:30~22:00 (ランチ L.O. 14:30 / コースL.O. 21:00 / アラカルトL.O. 21:30) ※冷麺の提供はランチタイムのみ |
TEL: | 03-3238-0030(中国料理「大観苑」直通) |
※ドレスコード有(短パン・タンクトップ・サンダルまたはそれに準ずる軽装不可)
アンダーズ 東京の
かき氷
雑味のない純水の氷をふんわりと削り、素材本来の味わいを引き立てたスイーツかき氷 コーヒー 2,650円(右)と、スイーツかき氷 マンゴー2,750円(左)。
清涼感を描くスイーツと氷の融合
アンダーズ 東京の「ペストリー ショップ」が贈るのは、〝かき氷〞のイメージを軽やかに裏切る、構築的で上品なスイーツ。選べるのは、コールドブリューのゼリーやムース、マスカルポーネの層が溶け合う「コーヒー」と、マンゴーとライムのゼリーが清涼感を織り成す「マンゴー」。純水から削った氷がふんわりと溶け、口の中にひんやりとした幸福感を残していく。暑さに疲れた身体を、ひとさじでリセットしてくれる7・8月限定のご褒美だ。
住所: | 東京都港区虎ノ門1-23-4 虎ノ門ヒルズ 森タワー1F |
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交通: | 東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅B1出口直結徒歩約3分 |
営業時間: | 10:00~19:00 (L.O.18:45) ※かき氷の提供時間は12:00~17:00 |
TEL: | 03-6830-7765(ペストリー ショップ直通) |
備える涼
江戸に学ぶ、涼の仕込み
氷やエアコンがなかった時代、人々は〝見た目〞や〝音〞に涼を託した。光をまとい冷酒を際立たせる江戸切子、澄んだ音色で空間を冷やす江戸風鈴──。現代の夏にこそ〝涼を備える〞名品を取り入れたい。
椎名切子の
江戸切子グラス
花火の焼酎グラス。26,400円(ぐい吞)~57,200円。
夏の一杯は、お気に入りのグラスで。
Keisuke Oana (Smiles:)
涼は、手のひらの中に宿る
手に取った瞬間、体感温度がすっと下がる。GLASS-LABが手がける江戸切子のブランド「椎名切子」は〝涼〞を宿すグラス。底にあしらわれた繊細な彫刻が、水や日本酒を注ぐたび、グラスの中に光の花を咲かせる。夏限定で登場するのは、打ち上げ花火をイメージした焼酎グラス。氷の音、揺れる光、その一瞬のきらめきに、五感がふと静まる、ひと息つける贅沢。日常に涼を差し込む、新しい江戸切子のかたちだ。
篠原風鈴本舗の
江戸風鈴
300年以上続く伝統技法で作られた江戸風鈴の音は耳から心へと静かに沁み渡る。
〝音〞で感じる涼の音色
風が鳴らす音に、涼しさを感じた記憶はあるだろうか。大正4年創業の「篠原風鈴本舗」が手がける「江戸風鈴」は、手作業で仕立てられた風鈴に一つずつ絵付けを施し、音色は一つずつ異なる。特徴は、耳に残るその〝余韻〞。短く澄んだ響きが、熱を帯びた空気に風の存在を告げ、心の奥にひんやりとした静けさを連れてくる。
暑さを和らげるのは、冷房ではなく、風に揺れる音や情緒かもしれない──そんな〝涼〞の原点に、今、立ち返りたい。
住所: | 東京都江戸川区南篠崎町4-22-5 |
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交通: | 都営新宿線瑞江駅北口より徒歩約12分 |
営業時間: | 9:00~18:00(12:00~13:00は昼休憩)/不定休 |
TEL: | 03-3670-2512 |
※オンラインショップで購入可能。
感じる涼
自然と芸術が導く静けさへ
真夏の熱気から少し離れ、自然の涼やかさや、伝統・現代アートの静謐に身をゆだねてみる。五感で「涼」を体験する時間は、都内で過ごす大人の夏にこそふさわしい〝避暑〞の形かもしれない。
チームラボプラネッツ TOKYO DMM.comの
水に入るアート
はだしで踏みしめる湿地の先に、命の気配が満ちていく『つかまえて集める絶滅の森』。
「チームラボプラネッツ TOKYO DMM. com」 豊洲, 東京 ©チームラボ
五感でひたる、水と光のインスタレーション
視覚・聴覚・触覚で〝涼〞を感じる没入体験が広がるミュージアム「チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com」。《Water》エリアでは、水に足を浸しながらはだしで歩く床下の水面、光と音に包まれた空間が五感を優しく刺激し、暑さを忘れさせ、体温が静まるような感覚をもたらす。単なる展示ではない。都市の熱を抜き、心身の境界をゆるめてくれる、五感で味わう〝現代の涼〞。アートの中で静かに呼吸を整える時間が、真夏の都市をリセットする。
住所: | 東京都江東区豊洲6-1-16 teamLab Planets TOKYO |
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交通: | ゆりかもめ新豊洲駅北口より徒歩1分、銀座(GINZA SIX)より有料シャトルバスあり |
営業時間: | 9:00~22:00 ※9月11日(木)は休館 |
料金: | 大人3,600円〜(日時・チケット種別により変動) |
秘境を楽しむ払沢の滝
払沢の滝は高度差約60m・全4段からなる。
陽光に煌めき、深緑にとける水音
東京都で唯一「日本の滝百選」に選ばれた「払沢(ほっさわ)の滝」は、檜原村の深い緑に抱かれた、静寂のオアシス。落差約60mの滝が放つ水煙と轟音、そして澄んだ空気に包まれると、火照った肌がすっと鎮まり、呼吸もゆるやかになる。足元に漂う冷気、木漏れ日の陰影、水面のきらめき──すべてが五感を解き放ち、日常の熱をそっと奪っていく。高温多湿な都心を離れ、真の〝涼〞を求めて辿り着く、東京の避暑地だ。
住所: | 東京都西多摩郡檜原村本宿5545 |
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交通: | 車で圏央道あきる野ICから五日市街道経由 24km約30分 |
TEL: | 042-598-0069(檜原村観光協会) |
伝統の涼を学ぶ能楽堂
『船弁慶』の知盛の亡霊を模した等身大バナー。
幽玄の涼、銀座に舞う
能の世界には、古来より〝涼〞が潜んでいる。たとえば「船弁慶」などの演目には、風を感じさせる舞や語りがあり、夕暮れの空気や水辺の情景が静かに描かれる。
そんな幽玄の涼を現代に再構成したのが、銀座の観世能楽堂で8月に開催される「TOKYO GINZA 夏祭り能楽堂」だ。風鈴や朝顔、葦簀が配された演出空間で、能面や装束の展示、体験、映像演出を通して五感で日本の涼を味わえる。
涼を視る、聴く、そして感じる夏の伝統と静寂のオマージュ。
住所: | 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX B3F |
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交通: | 東京メトロ銀座駅 A3出口より徒歩2分 |
営業時間: | 8月11日(月・祝)~8月15日(金)13:30~19:30 |
TEL: | 03-6274-6579(観世能楽堂) |
料金: | 1,000円 ※15歳以下は無料 |