癒しや、居住空間の心地よさに関心が集まる昨今、LED技術の進化によって間接照明の可能性も広がり、
その注目度が高まっている。今回は照明のプロフェッショナルのアドバイスをもとに、
間接照明の効果的な取り入れ方を学んでみたい。
Edit&Word_NOBUYUKI YAMAHA. IKUMI UENO(effect).
LEDの普及で進化が加速
間接照明で暮らしを豊かに
光源から直接光を当てるのではなく、壁や天井、床などに光を反射させ、間接的に空間を明るくする手法、間接照明。今回監修を担当いただく「IDC OTSUKA 有明ショールーム」の照明コンサルタントである本村保幸さんは「光源を直接見せない柔らかな光はただ部屋を明るくするだけでなく、上質な空間を演出し、心身に安らぎを与えてくれます。かつては部屋の明るさが豊かさの象徴とされてきた日本でも、近年では癒しを求める傾向が強まり、光で空間を彩る間接照明が注目されてきているのです」と話す。
この流れを後押ししたのがLED電球の進化だという。小型化や低発熱化が進み、さらには調光・調色といった機能性も向上。省エネを叶えながら、間接照明の表現力を飛躍的に高めた。
今号では間接照明の効果、設置の際のポイントを伺い、さらに大塚家具でも購入できる種類別おすすめ商品を紹介していただいた。
監修いただいたのは
IDC OTSUKA 有明ショールーム
IDC OTSUKA 有明ショールーム内にある日本最大級の大型照明専門フロア「ライタリウム」。約1300点にも及ぶ国内外のブランド照明を一堂に取り揃え、設置・比較体験ができる「ライティングラボ」や最新トレンドを取り揃えた「Luce Salone」など多彩なゾーンを展開。上質な空間演出のヒントを得られるスポットとなっている。
間接照明の4つの効果
リラックス効果
光源を直接見せない間接照明は、副交感神経を落ち着かせ、心身をリラックスさせる効果がある。強い光が一点に集中するよりも、壁や天井に反射した柔らかな光は、空間全体を穏やかに整えてくれるのだ。またいくつかの照明を組み合わせた「多灯分散」も、くつろぎの空間作りに有効。特に天井へ光を広げるタイプや、布シェードで光源を覆うもの、乳白ガラスの器具などを取り入れると、目に優しい温もりを感じさせる。
視線を集める
家具や観葉植物、絵画などに光を当ててフォーカルポイントとして強調し、空間の〝見せ場〞を演出。上から光を当てるだけでなく、たとえば植物に下から光を当てると影が天井に浮かび上がり印象的なアクセントに。さりげなく視線を誘導できるのも間接照明の魅力だ。
熱を発しないLED電球の普及で植物近辺にも設置が可能に
健康面のメリット
人の体内時計(サーカディアンリズム)は光に大きく影響されるため、夜間は暖色系(電球色)の光で神経を静め、日中は寒色系(昼白色)の光で脳を活性化することで、生活に張りが生まれる。さらにテレビ背面に照明を置くことで、目の疲れを軽減する効果も。
太陽と人間の活動の関係性。光を活用し生活に張りを
空間を演出する
人間は左右に広い視野を持っているため、壁際や部屋の隅に光を置くと空間の広がりを感じやすくなる。このため壁際に光を点在させる「光だまり」を作る、照明の高低差をつける、天井面に光を当てることなどによって光のグラデーションを生み出すと、奥行きのある空間を演出することができるのだ。また近年ではLED電球の進化により、デザイン性の高い照明も多く登場。間接照明を置くだけで、空間を一層印象的に変えられるようになった。
設置の際のポイント
色温度を意識する
光の色を数値で表す「色温度」は照明選びの大事なポイント。色温度が低い暖色系の電球色は温かみがあり、リラックスを誘うためリビングや寝室などに向いている。ダイニングでは料理を美味しそうに見せる効果も。一方、色温度が高く自然光に近い昼白色は色味を確認する作業や身支度などに適している。間接照明には電球色が向くが、近年登場した色温度を変更できる「調色機能」付きのLED電球を活用して、シーンに応じた使い分けができるとより便利だ。
事前にイメージを固める
間接照明は、目指す雰囲気を事前にイメージすることが重要だ。明るさや陰影で空間の印象は大きく変わる。リラックス重視なら柔らかい光で包むようにし、アクセントをつけたい場合はフォーカルポイントを作るのも一つの方法。家具やカーテンとの相性も考えよう。
どんな空間にしたいのか、具体的に思い描くことが大切
こんな失敗に注意
間接照明を設置する際には、いくつかのポイントを複合的に意識したい。
まず、家具や内装とのバランスを整えること。明かりの配置や光の強さが偏ると、空間全体が落ち着かない印象になる。次に、数を多く置きすぎないことも重要。複数の光源を組み合わせる場合でも、必要以上に照明を増やすと視覚的に散らかった印象になりやすい。光の当て方、配置、高さなどを丁寧に調整し、過不足のない範囲で設置することで、洗練された居心地のよい空間が完成する。
種類別 おすすめの間接照明
テーブルスタンド
ソファ横やサイドボード上などに置き空間にアクセントを添える照明として人気。目線より低い位置から広がる柔らかな光が温かみと落ち着きを与える。デザインや素材のバリエーションも豊富で、コンパクトなため場所を取らず、間接照明を手軽に取り入れたいときにも最適だ。
PEDRET
1733/T(ランプ別売)
白磁のセードと真鍮色の本体が調和するフォルムは職人の手仕事から生まれる逸品。シンプルでありながら、洗練された空間を演出。
¥78,200
TOOY
NABILA/1T(ランプ別売)
イタリアの照明ブランドによるコンパクトなテーブルスタンド。熟練職人がハンドメイドで仕上げ、ベッドサイドやデスクなどで活躍。
¥74,000
O’THENTIQUE
RUSTIQUE-B(ランプ別売)
流木を用いたコレクションで知られるタイ発のブランド。自然のフォルムを活かした木材の風合いが空間に個性と存在感を添える。
¥102,000
ポータブルライト
充電式で持ち運び可能なスタンドタイプの照明。間接照明としてはもちろん、就寝前の読書灯や常夜灯として使うなど、幅広いシーンで活躍する。LED特有の低発熱性により、さまざまな場所に設置が可能。調光機能を備えたタイプも多く、機能性に優れたアイテムだ。
marset
FOLLOW ME-N
どこにでも持ち運べるコンパクトなハンディライトで、インテリアに合わせやすいデザインが魅力。調光ができ、100%の明るさで5時間の連続使用が可能だ。
¥37,900
marset
Dipping Light
スペインの照明ブランド。乳白ガラスのセードに塗料をディップして生まれるグラデーションが唯一無二の個性を放つ。
¥88,700
LODES
easy peasy
イタリアブランドらしい洗練されたカラーが印象的。ノブを回すだけで調光可能なテーブルスタンドは機能性と美しさを兼ね備える。
¥84,000
フロアスタンド
床に置いて使うスタンドタイプの照明。壁際に配置することで光が壁や天井に反射し、空間に柔らかな光と奥行きをもたらす。また照明の高低差をつけることで光のグラデーションが生まれ、リラックス効果が向上。スポットライト型は観葉植物やアートなどを印象的に照らし空間演出のアクセントにも。
marset
フニクリ
灯具が上下に可動、360度回転し、光を自在に操れるコンパクトなスタンド。省スペースながら多用途で、寝室や書斎、読書灯としても活躍。
¥101,000
Frank Lloyd Wright
TALIESIN 2
世界的建築家、フランク・ロイド・ライトの至高の一灯。木製ボックスと遮光板の組み合わせが光と影を生み、自然光のような柔らかさを演出する。
¥407,000(参考価格)
FLOS
ARCO
イタリア建築界を代表するカスティリオーニ兄弟が手掛けた傑作。大理石のベースから伸びたポールが、優美なアーチを描く名品。
¥418,000(参考価格)
ペンダントライト
天井から吊り下げる照明で、ダイニングテーブルの上に設置されることが多い。光源が近いため、料理の色彩が鮮やかに見え、食卓を美しく引き立ててくれる。レールで位置調整ができるタイプなら、照らしたい場所に光を集め、フォーカルポイントを演出する。
AOYA
Natural ムーン ペンダントライト
和紙を球体に漉きあげる「立体漉き」技法により、継ぎ目のない滑らかな造形を実現。柔らかな光が、和室や寝室に温もりを添える。
¥47,190(参考価格)
NEMO
PROJECTEUR
建築の巨匠ル・コルビュジェが設計した照明を、イタリアブランドが復刻。光の角度を自在に調整でき、実用性と造形美が融合。
¥44,500
LE KLINT
BOUQUET
デンマーク王室御用達の照明ブランドが、束ねたチューリップから着想を得てデザイン。小ぶりなシェードが生み出す柔らかな雰囲気が魅力。
¥231,000(参考価格)
※価格は全て、税込。商品セレクト監修:IDC OTSUKA 有明ショールーム