伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その十五

何度でも会いたくなる茶目っ気いっぱいの江戸前寿司職人

ISSUED | 2018.07

銀座寿司幸本店 四代目 杉山 衛さん

  • 伝統ジャンル | 江戸前寿司 継 承 歴 | 四代目
  • 1953年東京生まれ。青山学院大学卒業。大学在学中からアルバイトとして店に入る。1976年に改めて弟子入り。33歳で銀座寿司幸本店の主人となり、91年に代表取締役に就任。趣味はゴルフとワイン。

何度でも会いたくなる茶目っ気いっぱいの江戸前寿司職人

 屋台で寿司を食う粋な江戸っ子。テレビや映画で馴染みのあるワンシーンだ。江戸前寿司=屋台というイメージを持っている方も多いのではないだろうか。「東京の寿司屋の歴史は江戸時代に遡ります。1丁に1軒、寿司屋があったというくらい人気の食文化でした。当時は高級品でお土産専門。屋台の寿司屋が出始めたのは天保の贅沢禁止の御触れが出てからなんですよ」と語るのは、銀座寿司幸本店四代目の杉山 衛さん。

「父が病気をしていたのもあり、あれよあれよという間に継ぐことになりました。仕入れから仕込みまで全て任されていたって言えば格好良いけど、ただ走りまくっていましたね」

『銀座寿司幸本店』といえば銀座を代表する高級寿司店としてご存知だろう。だからと言って継ぐという道は平坦ではなかった。何も変えていないにも関わらず「味が落ちた」と言われ、ベテランの板前が辞め、バブルが弾け……。

「ありがたいことに、うちは銀座でも目立つ店。一度落ちた評判が上がってきて評価されるようになったのは嬉しかったね。雑誌に取り上げられたり、レッドカーペットを歩いたり、普通のお寿司屋さんができないことを体験しているよね」

 レッドカーペット? 実は杉山さん、小山薫堂さんが手掛けた番組に出演し、その作品がエミー賞にノミネートされ、ニューヨークでタキシードを着てレッドカーペットを歩いたのだとか。ほかにもイタリア・スローフードで初めての講演者として招かれたり、ワインをプロデュースしたり、活躍の場は無限だ。

 どん底の時に社長になったから今が楽、と杉山さん。銀座寿司幸本店はまさにネタの宝庫。寿司の旨さはもちろんだが、杉山さんとの談義も極上だ!

  • なんとかなる

  • 匠の言葉

    「なんとかなる」
    様々な経験をしているからこその前向きなひと言。杉山さんに言われるとそう思えてくるから不思議だ。

店舗情報

銀座寿司幸本店

  • 住所 中央区銀座6-3-8 ▶︎MAP
    電話番号 03-3571-1968
    営業時間 11:30~22:00
    定休日 祝日の月曜日

    左:今では見慣れた光景の寿司屋でワインも、銀座寿司幸本店発。ドクターストップでワインしか飲めなくなった常連さんのサービスとして提供したのがきっかけだ。趣味はワインというくらい杉山さん自身も大のワイン好き。オーストラリアの老舗ワインブランド「ジェイコブス・クリーク」と共同開発したワイン「わ」。
    右:江戸前寿司の名残を感じられる銀座寿司幸本店の名物「焼き椎茸の握り」。椎茸を網焼きし、出汁にくぐらせ、秘伝のたれで付焼き。ほのかにゆずが香り、口に入れた瞬間に口福に包まれる美味しさ。

    左:暑さと重さとの戦いでもあり、弟子たちにとっては重要な修行のひとつ。
    右:こちらも名物、玉子焼き。しっとりなめらか、程よい甘さが上品な逸品。網にのせた備長炭を手に持ち、約50分かけて焼き上げる。

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