
継ぎ人 その二十九
日本の食の魅力を伝えるインフルエンサー
ISSUED | 2019.10

日本橋ゆかり 三代目 野永 喜三夫さん
- 伝統ジャンル | 日本料理 継 承 歴 | 日本橋ゆかり 三代目
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1972年に昭和10年創業の日本料理店「日本橋ゆかり」の長男として生まれる。高校卒業後、服部栄養専門学校に進学。卒業後、京都の名料亭「菊乃井」に入店し、約6年の修業を経て1997年に家業を継いで三代目主人となる。
日本の食の魅力を伝えるインフルエンサー
「日本橋ゆかり」の三代目主人、野永喜三夫さんの白衣の袖に縫い付けられた日の丸は「日本の伝統文化を受け継ぐ者としての自負」の証だ。日本の旬の食材を使い、日本料理の伝統の技に新しいアイデアを加えて生み出す野永さんの料理は、世界でも高く評価されている。
「菊乃井での修業時代、師匠の村田吉弘氏のもとで気付いたのは、京都の料理人は、野菜の生産者や器をつくる陶芸家など、周囲の人々のストーリー性を大切にしながら互いに高め合い、素晴らしい料理を作り上げていくということでした。そこで東京に戻ってきた私は、千住ネギや練馬大根などの江戸野菜を復活させました。今では地産地消も珍しくありませんけどね。市販の野菜は一世代限りしか実らない種を使っています。流通の都合など、人間の欲望がそうさせているのですが、健康被害を懸念する声も大きい。一方、本物の種を守り、代々受け継いでいる生産者もいる。そうした人々を訪ねて話を聞いて、その食材をメニューに用いることで情報発進基地の役割を果たしたい。先日も農林水産大臣と一緒に香港で日本食のトップセールスをしてきたんですよ」
料理人でありトップセールスマンであり名プロデューサーでもある野永さん。最近は東京の食材だけで作ったゆかりオリジナルの「江戸っ米ビール」や「江戸っ米ぷりん」といった商品も開発している。
「東京には素晴らしい生産者がいて、おいしくて安全な食材があるんだから、チャレンジ精神をもって誰かが発信していかないと。これからオリンピックもあるしね。デザインも自前です。味や香りはもちろんストーリー性や話題性、見た目のインパクト……、五感に訴える料理を世界に発信していきます」
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匠の言葉
温故知新
「伝統文化である日本料理を守るためには、守り続けながらも新しいものにチャレンジしていかないといずれ廃れてしまう」と野永さん。正統な日本料理のなかに散りばめられた嬉しい遊び心やサービス精神に客は感嘆する。
店舗情報
日本橋ゆかり
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住所 東京都中央区日本橋3-2-14▶︎MAP 電話番号 03-3271-3436 営業時間 ランチ11:30~14:00(L.O.13:30)、 ディナー17:30~22:00(L.O.21:30) 定休日 日・祝休み 完全予約制のお昼の松花堂弁当「ゆかり御前」は野永さんの日本料理の世界観がたっぷり堪能できる逸品。内容は毎日変わり、食材には江戸野菜や東京のブランド肉「TOKYO-X」などの東京産が使われる。
左)「ゆかり御前」のスタートはこの「東京モッツァレラ茶碗蒸し」からスタート。チーズのこくと出汁の旨味の絶妙なバランスが見事。
右)玄関を彩る江戸野菜。屋上の菜園でも野菜を育てている。
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