伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その31

蔵の歴史を未来につなぐ23個目のワンピース

ISSUED | 2020.01

澤乃井醸造元 小澤酒造株式会社 二十三代目 小澤幹夫さん

  • 伝統ジャンル | 日本酒 継 承 歴 | 澤乃井醸造元 小澤酒造株式会社 二十三代目
  • 1984年、小澤酒造株式会社の長男として生まれる。大学卒業後一般企業にて約5年間経理業務に従事。2013年に小澤酒造株式会社に入社。22代目の父のもと酒造りを学び、2019年1月に23代目当主に就任。

蔵の歴史を未来につなぐ23個目のワンピース

小澤酒造は雄大な多摩川の清流と濃い緑の山々からなる御岳渓谷で元禄15年から酒造りを続けている。そんな歴史ある老舗の23代目当主として、2019年1月に家督を継いだのが小澤幹夫さんだ。35歳という若さでの代替わりは想定外だったというが、気負いはない。

「子供4人で男は私だけ。いずれ当主になることが前提で育ったので、跡を継ぐことに抵抗はありませんでした。23代目としての仕事は、これまでの蓄積を現代にマッチするように昇華させること。先代たちが築いてきたものは素晴らしく、私自身も大好きなので、無理に変えようとしたり、自分の色を出そうとしたりする必要はないと思っています。既存のものに23個目のピースを乗せるイメージです」

21代目の祖父は観光蔵として多くの人に親しんでもらえるように「澤乃井園」などを整備。今でこそ観光蔵もそう珍しくはないが、21代目が始めたのが最初という。

22代目の父は酒質の改善に取り組み、常に安定した美味しさを提供することに成功した。そして23代目。小澤さんが積み上げる23個目のピースはどんなものになるのだろう。

「先代たちの取り組みをしっかり自分の中に落とし込んで、世界に発信していくことが私の取り組み。美味しい酒とそれを生み出す東京青梅の魅力を世界中の人々に知ってほしいと思っています。新進気鋭の取り組みをしている蔵元さんと比べると地味かもしれませんが、蔵と従業員を守ることを考えると、答えはおのずとそうなります。小澤酒造の長い歴史とこれからも続く未来のちょうど真ん中に自分がいるだけですから」。

物腰やわらかな小澤さんだが、その言葉には先代から受け取ったタスキを次につなぐ者としての責任感と覚悟に満ちていた。

  • 東京地力

  • 匠の言葉

    東京地力
    「東京は都会的で情報や物が溢れているけれどそれだけじゃない。東京の地の力を発信していきたい」と小澤さん。酒造りの源となる水とそれを生み出す東京青梅の豊かな自然への愛があふれている。

店舗情報

小澤酒造株式会社

  • 住所 東京都青梅市沢井2-770▶︎MAP
    電話番号 0428-78-8210
    営業時間 10:00~17:00
    定休日 月曜休(祝日の場合は翌平日休み)※酒造見学は要予約

    酵母が変わってより美味しくなった澤乃井の定番「特別純米」と伝統的な生酛造りで仕込んだ「東京蔵人」。「東京蔵人」はパリの日本酒コンクール「Kura Master 2018」でプラチナ賞を受賞した自慢の逸品。

    今も暮らす茅葺屋根の母屋はまるで昔話に出てきそうな佇まい。

    左)澤乃井の仕込水は水質の異なる2つの井戸を使用。こちらは地の利を生かした横井戸の「蔵の井戸」。ミネラル豊富な中硬水が湧き出ている。
    右)21代目がつくった清流ガーデン「澤乃井園」では食事やショッピングなどが楽しめる。

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