伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その三十二

温かいおもてなしで人を笑顔にする鴨料理屋さん

ISSUED | 2020.02

あひ鴨一品 鳥安 六代目 渡辺英さん

  • 伝統ジャンル | 合鴨料理 継 承 歴 | あひ鴨一品 鳥安 六代目
  • 1981年生まれ。東日本橋の合鴨料理の老舗「あひ鴨一品 鳥安」の六代目として生まれる。物心ついたころから店を手伝い、織田調理師専門学校卒業と同時に入店。五代目の父とともに店を支えている。

温かいおもてなしで人を笑顔にする鴨料理屋さん

明治5年創業の合鴨料理の老舗「あひ鴨一品 鳥安」があるのは両国橋の西詰のほとり。今は数多くの問屋が集まるビジネス街だが、かつては江戸屈指の歓楽街だったとか。「鳥安」の雰囲気ある佇まいは、そんな街の記憶までも彷彿とさせる。

「実は現在の建物は平成17年に建て替えたもので、門構えは昔の姿に似せています。明治、大正、昭和と三度火災にあって、家訓というほどのものは残っていないのですが、代々口伝されてきたのは『何事にも丁寧であれ』ということ。メニューは昔から「相鴨すきやきコース」のみ。鴨の仕込みをどれだけ丁寧に行うかが勝負です。お客様が食べたときに違和感がないよう、肉の中に埋まったストロー状の筆毛を一本一本抜き、スジなども丁寧に取り除きます」

 入店してから18年。六代目が目指す「鳥安」像とは?
「他業態での出店を検討したこともあるのですが、それをするとどうしても自分たちの目の届かない部分が出てきてしまいます。だったら大きく変化させるよりも、今までやってきたことにちょっと肉付けして、お客様が少しでも居心地のいい空間をつくっていこうという結論に至りました。東日本橋という立地を考えると、お客様のほとんどは鳥安のためにわざわざ足を運んでくださっています。そんな方々のために、できる限りのものをお返ししたい。お祝い事のお客様にお花やお酒をプレゼントしたり、喫煙所をつくって全室禁煙にしたり……と、お客様が喜んでくださるサービスを少しずつ充実させています。売上よりも、自分たちがメシを食っていけて、お客様が笑顔で帰ってくれればそれでいい。こんな店が一軒くらいあってもいいのかなと思っています(笑)」

  • 謙虚と感謝

  • 匠の言葉

    謙虚と感謝
    「自分は一歩下がってるのが性に合っているんです」と控えめな渡辺さんらしい言葉。修業中の従業員も褒めて伸ばすのが信条。いつもニコニコ朗かに、客と鴨への感謝も忘れない。

店舗情報

あひ鴨一品 鳥安

  • 住所 東京都中央区東日本橋2-11-7▶︎MAP
    電話番号 03-3862-4008
    営業時間 17:00~22:00(L.O20:00)
    定休日 土曜日(12月・1月のみ営業)・ 日曜日・祝日(夏季休業等あり)

    鳥安自慢の「相鴨すきやきコース」。すきやきは炭火の上に鉄鍋を乗せて鴨肉を焼き、おろし醤油で食べる。オリジナルの鉄鍋には「ダム」と呼ばれる窪みがあり、そこにたまった鴨の脂で野菜を揚げ焼きする。

    左)初代と五代目尾上菊五郎丈が昵懇だったことから、六代目菊五郎丈から贈られた掛け軸。菊の花は菊五郎を、後ろにすっと伸びる姿は鴨一筋の鳥安を表している。右)店内の本棚には鳥安が登場する本がぎっしり。

    平成17年に建て替えられた店内には、かつての欄間や床の間なども一部使われている。

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