マイナンバーカード(正式名称:個人番号カード)を健康保険証として利用できる制度が開始している。「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき日本で発行されるマイナンバーカードは、身分証明書・署名用電子証明書・民間や行政の手続きなどに利用できるとされているが、今後はもっと生活に密着した役割が期待される。この記事では、いつから健康保険証としてマイナンバーカードが使用できるのか、事前の登録方法や利用の仕方・仕組み、メリット・デメリットについて紹介していく。
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マイナンバーカードはいつから健康保険証として使える?
マインバーカードが健康保険証として利用が可能となる開始日は、2021年(令和3年)10月20日。すでに健康保険証として使えるという認識だが、現時点(2021年11月)では全ての医療機関・薬局で使うことができないとされている。利用できる医療機関・薬局は、厚生労働省・社会保険診療報酬支払基金のホームページやポスターなどを通じて周知する予定であり、厚生労働省の公式サイトでは「令和5年3月を目標に概ね全ての医療機関・薬局で利用できるように目指す」と記載されている。順次拡大していくという流れから、どこでも使えるという利便性は先の話になりそうだが、全ての医療機関・薬局での利用可能に加え、今後はさまざまなメリットが期待できる。
マイナンバーカードの手続き・登録方法は?
マイナンバーカードが手元にない人は、日本に住民票がある住民(日本国籍と在日外国人の両方可)であれば、申請手続きを行うことで手に入れることができる。申請方法には、郵便やパソコン、スマートフォン、証明用写真機などから無料で申請が可能だ。スマホ(携帯)から申請する場合は、交付申請書のQRコードを読み込み、申請用サイトにアクセスしてメールアドレスを登録後、顔写真や申請に必要な情報を入力して送信すれば、これで申請は完了。交付通知ハガキが自宅へ送付されたら、現住所の市町村窓口で受け取れるという流れだ。交付申請書がない場合は、最寄りの市町村窓口で再発行が可能だ。
健康保険証として使う場合の登録方法
マイナンバーカードを取得しても、すぐに健康保険証として使うことはできるわけではない。まずはマイナンバーカードと保険証を紐付けする必要がある。登録方法は複数あるが、おすすめはセブンイ-レブンでの登録。ここでは、おすすめと併せて一般的なマイナンバーカードの登録方法をまとめていく。
パソコンから登録
パソコンから登録する場合、「マイナンバーカード」「事前に設定をしたパスワード」「パソコン用ICカードリーダー」「マイナアプリ」が必要となる。パソコン専用となるICカードリーダーが必要となるため、他の登録方法に比べてハードルが高く、使用するパソコンの性能によっては登録できないものも。準備という視点から見ると、少々手間がかかる。
スマートフォンから登録
スマートフォンの場合、「マイナンバーカード」「事前に設定したパスワード」「マイナンバーカードが読み取りできるスマートフォン」「マイナアプリ」が必要となる。自宅で手軽にできる反面、マイナンバーカードの読み取りができないなど、スムーズに進まないことも。スマホから登録するなら、マイナンバーカード専用のアプリ「マイナアプリ」を事前にインストールすることも必要だ。
セブン-イレブンATMから登録
パソコンやスマホからの登録に比べ、ハードルが低いとされるのがセブン-イレブンATM。マイナンバーカードと暗証番号があれば登録できるので、スムーズに進めやすい。やり方は簡単。セブン-イレブンATMからマイナンバーカードの手続きを選択し、マイナンバーカードを銀行ATM利用時と同様、端末に差し込み暗証番号を打つだけで登録が完了する。所要時間も数分程度、時間を掛けずに効率よく登録したい方におすすめだ。
健康保険証への登録が終わったら?持参するだけで利用可能
マイナンバーカードと保険証の紐付けが登録できた後は、マイナンバーカードを医療機関・薬局へ持参することで保険証がなくても診察や治療を受診することができる。医療機関・薬局では、12桁のマイナンバーではなく利用者証明用電子証明書を利用するため、セキュリティー面から見ても安心だろう。利用者は受診の際、病院受付でマイナンバーカードをカードリーダーにかざすだけで使用可能になる。
健康保険証としてのメリット・デメリット
マイナンバーカードを保険証と紐づけた場合、さまざまな面において利便性が期待される。ここでは、マイナンバーカードを健康保険証として活用する場合のメリット・デメリットそれぞれを説明していく。
マイナンバーカードが健康保険証になるメリット
まずはマイナンバーカードを健康保険証にした場合のメリットからチェックしていく。考えられる4つのメリットから紹介しよう。
メリット1「限度額を超えた場合の手続きが簡略化される」
マイナンバーカードを利用できる医療機関の窓口で限度額を超えた場合、一時支払いの手続きが不要になる。これまでの高額療養費制度は、一度支払いをしてから限度額を超えた分を事前申請した後に払い戻しとなっていたが、この手間がなくなる。
メリット2「引越し時の住所変更などの手続きが不要」
引越しで住所変更があったという場合でも、マイナンバーカードが健康保険証に紐づいていれば医療機関を受診することができる。
メリット3「確定申告の医療費控除申請が簡単」
これまでは、確定申告の際に医療費の領収書を添付して医療費控除の申請を行うという流れが一般的だった。マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、確定申告とマイナンバーカードの情報が紐付けされ、この手続きが不要となる。
メリット4「マイポータルサイトで過去データの確認ができる」
過去に処方された薬や医療費、特定健診などの情報データがマイポータルサイトで閲覧できるため、医師に口頭で説明する必要がなくなる。自分の健康管理状態をいつでもどこでもデータから閲覧できるようになる。
健康保険証としてのデメリット
メリットが多いマイナンバーカードだが、健康保険証として利用する場合はデメリットも存在する。どのようなマイナス要素があるのか2つ紹介する。
デメリット1「利用できる医療機関・薬局が少ない」
2021年11月現在の大きなデメリットは、利用できる医療機関・薬局が圧倒的に少ないという点だ。利用できる医療機関と薬局を自分でリサーチする必要があるため、従来の保険証とマイナンバーカードの両方を持っていないと受診できない可能性がある。
デメリット2「個人情報が流出する可能性」
マイポータルサイトからどこの医療機関を利用したのか、個人情報が流失する可能性があるという点はマイナンバーカードのデメリットだ。特に専門的な病院では、持病が特定される危険が絶対にないとは言い切れない。他人に自分の病気を知られたくないという方も多く注意が必要である。
マイナンバーカードを有効活用しよう
この記事ではマイナンバーカードの健康保険証の利用について紹介したが、健康保険証として利用できることは、間違いなく生活の面で便利になることが期待される。とはいえ、個人情報の流失といった危険性が考えられることも忘れてはならない。マイナンバーカードのメリットとデメリットをしっかり把握して活用してほしい。
参考:厚生労働省