風を切る歓びを味わう、伝統を受け継ぐ美しき一台
Texts_SAYAKA NAGASHIMA.
かつてロードバイクは、レースや長距離ツーリングのための特別な乗り物だった。しかし近年では、その魅力を都市の日常に取り入れる大人たちの姿が増えている。そんな時代にあって、改めて輝きを放つのが、BIANCHI（ビアンキ）だ。
1885年、イタリア・ミラノの小さな工房からビアンキの物語は始まった。創業者のエドワルド・ビアンキは、当時革新的だった前後輪のサイズが等しい設計の自転車を世に送り出した。以来約140年、ツール・ド・フランスをはじめ数々のレースで栄光を重ね、確固たる地位を築いてきた。
その伝統と美意識を、現代の感性と技術で再構築したのが「SPRINT ICR」だ。1970年代に登場したオリジナルモデルは、スチールフレームを採用し、エントリーからミドルレベルのアマチュアライダー向けに、高品質ながらリーズナブルなモデルとして人気を博した。その系譜を受け継いだ最新モデルは、カーボンモノコックフレームを採用し、空力性能、剛性、快適性を高次元でバランスさせている。さらに、ケーブル類をフレーム内に収めた内装化設計や、空気抵抗を抑えるフレーム形状など、独自の美学が随所に垣間見える。加えて、油圧式ディスクブレーキを標準装備し、雨天でも安定した制動力を発揮する。
イタリア語で「青空」を意味する、ビアンキ伝統のチェレステカラー。歴史と革新性をまとった一台にまたがる瞬間、それは単なる移動手段を超えた、心を満たすひとときとなるだろう。
流れるような空力フレームとケーブルの内装化がレーシーな雰囲気を醸す。
日常使いはもちろん、高速走行時にも安心できる油圧式ディスクブレーキ。
