2022年の開館20周年を迎えるポーラ美術館。20周年という大きな節目を記念して「モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」が2022年4月9日(土)から2022年9月6日(火)まで開催される。従来のコレクションに加えて、20世紀から現代までの美術を代表する作品より、注目すべき見どころを紹介する。
ポーラ美術館とは?
神奈川県・箱根町にあるポーラ美術館は、2002年9月6日の開館以降「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに掲げ続けている日本を代表する美術館だ。豊かな自然を眺めながら遊歩道を進むと、森に囲まれたこの美術館は、普段意識することのない環境音や木々の隙間から差し込む柔らかな光を感じることができるだろう。西洋絵画を中心とする一方、現代美術で活躍する作家たちの美術を展示する姿勢は、この美術館固有の体験といえる。
ポーラ美術館開館20周年記念展
記念展「モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」の主要テーマは光。なんといっても見所は、ポーラ創業家2代目の鈴木常司が40数年間にわたり収集したコレクションとリヒターなど新たに収蔵した作品だ。クロード・モネをはじめとする印象派の画家から現代作家まで、約110〜120点の絵画や版画、彫刻といった作品が展示される予定だ。うつろいやすく非現実的な水面に映る光など、時間や場所によって表情を変える「光」にアプローチした作品は細部まで堪能したい。うつろいゆく自然から時代の趨勢と共に変化する多様な「生」のあり方について見つめなおすアート作品に注目だ。
約30億円で落札されたリヒターの大作が初公開
同展では10月6日にサザビーズ香港で行われた現代美術イブニングセールで、ポーラ美術館が約30億円で落札したゲルハルト・リヒターの作品が初公開される。10分間もの入札合戦が続いた後に、予定落札価格の1.5倍の金額で落札されたリヒターの《抽象絵画(649-2)》は、アジアにおける欧米作家作品の最高落札額となったという。作品を鑑賞する際は、絵の具の層が重なることで生じた独特の物質感に注目してほしい。
「モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」に出展されるおもな作家は、ベルト・モリゾ、クロード・モネ、ヴィルヘルム・ハマスホイ、アンリ・マティス、ゲルハルト・リヒター、ケリス・ウィン・エヴァンスなど。日本人では、関根正二、松本竣介、斎藤義重、白髪一雄などの作品が登場する。富士箱根伊豆国立公園という自然に恵まれた立地は、心身のリフレッシュにもおすすめだ。