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円高が進むと、円で見たリターンが小さくなる
ニュースでよく見る「円高」「円安」について、まず整理してみましょう。
為替レートが1ドル=100円だった場合、1ドル=80円に動くことを「円高(ドル安)」といいます。これは、より少ない円で1ドルを買えるようになった(円の価値がドルに対して高くなった)ことを意味します。
反対に、1ドル=120円に動いたら「円安(ドル高)」です。この場合、より多くの円を支払わないと1ドルを買えなくなった(円の価値はドルに対して低くなった)ことになります。
円高・円安の仕組み
この為替の変動は、資産運用にどう影響するでしょうか。
1ドル=100円で、1万ドル分の米国株を買うには、100万円が必要です。
その後、株価が変わらなくても、1ドル=80円に円高が進むと、円建ての評価額は80万円に減ります。反対に、1ドル=120円の円安になれば、円建ての評価額は120万円に増えます。
このように、外国の株などに投資した場合、為替が動くことで円建ての評価額が変わります。円高になればリターンが小さく、円安になればリターンが大きくなります。これを「為替変動リスク」と呼びます。
ドル建てリターンに為替の影響を加えたものが「円建てリターン」
注意が必要なのは、為替変動の影響だけで円建てのリターンが決まるわけではないという点です。なぜなら、ドル建ての資産に投資する場合、円建てのリターンは、資産の値動きによるリターンと、為替変動の影響という2つの要因によって決まるからです。
米国株に投資した場合の円建てリターンのイメージ図
今回も、1万ドル分の米国株を1ドル=100円で購入したとしましょう。支払いは100万円です。
例えば、投資した時点よりも10%の円安(1ドル=110円)になったとします。そこだけ見れば、円建てで10%のプラスのリターンが得られそうです。しかし、ドル建ての株価が20%値下がりしたとしたら、プラスの影響がマイナスの影響に相殺され、円建てのリターン全体では約10%のマイナス(評価額は100万円から約90万円に値下がり)になってしまいます(※1)。
株価の下落と円高が重なった場合は、円建てのリターンのマイナスが増幅されます。株価が20%値下がりし、為替も10%円高(1ドル=90円)になったとしたら、円建てのリターンは約30%の大幅なマイナス(評価額は100万円から約70万円に値下がり)になってしまうのです(※2)。
もちろん、株価の値上がりと円安が同時に進行すれば、プラスのリターンが大きくなる可能性はあります。
今が円高なのか円安なのかは分からない
「外国の資産に投資をするときは、円高の時を狙って買い、円安になったら売るようにすれば、もっとリターンが得られるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ただし、実際の資産運用ではそれほど単純にはいきません。
外国の株や債券を投資対象とする場合、為替が円安に動くことによる利益を狙うため、円高の局面で投資をしようという考え方があります。上述したように、円建てのリターンは為替の影響だけでは決まりませんが、リターンを高める一つの要因にはなるためです。
しかし、為替の見通しはプロでも非常に難しく、そもそも今が円高なのか円安なのか誰にもはっきりとは分からないのです。
例えば、2022年に1ドル=150円を付けたときは、32年ぶりの円安ドル高水準だと大騒ぎとなりました。ただし2024年時点の為替水準から見ると、円安には見えません。また、冒頭にお伝えした通り、1日の中で1ドル160円台から154円台まで動くことさえあります。
ドル円などの為替相場は、ニュースなどで見慣れていることから、予想しやすいものだと捉えられがちです。しかし実際には思わぬ方向に大きく動く相場なのです。
まとめ
為替変動は様々な要因によって動くため、見通しが立てにくいものです。ただし、世界の経済成長を享受するには、外国の資産に投資をしていくことが必要になります。
資産運用において為替変動とうまく付き合うには、資産を世界中の様々な資産に分散すること、長期で投資に取り組むことなど、リスクを抑える運用と組み合わせることが大切です。
※1
正確には、株価が8000ドルに下落し、為替が10%の円安になったので、円建てのリターンは12%のマイナス(評価額は88万円)です。
※2
正確には、株価が8000ドルに下落し、為替も10%の円高になったので、円建てのリターンは28%のマイナス(評価額は72万円)です。
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