伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その十

ことばを紡ぎ、想いを届ける。記憶に 残る牛鍋屋の主人

ISSUED | 2018.02

すき焼 ちんや 六代目 住吉史彦さん

  • 継承ジャンル | すき焼き 継承歴 | 六代目
  • 1965年東京生まれ。慶応大学卒業後、食品小売関連の会社勤務を経て、30歳で家業を継ぐ。著書に「浅草はなぜ日本一の繁華街なのか」(晶文社刊)。

ことばを紡ぎ、想いを届ける。記憶に残る牛鍋屋の主人

すき焼―いつの時代もハレの日を彩るご馳走だ。おしゃれをして老舗で食べる極上のすき焼。記念日に家族みんな でわいわいつつく家庭の素朴なすき焼。すき焼があるシーンは、誰もが笑顔に変わる思い出があるものだ。時は文 明開化の真っ只中。日本橋や京橋、神田界隈の西洋料 理店に対し、浅草では牛鍋屋が軒を連ねた。ここ「ちんや」 も明治13年に創業する。

「元々は朕の販売や獣医をしていました。”ちんや”という店名はその名残です。時代の流れから料理店に鞍替えし ました。当時は儲かりそうな商売を選んだのでしょうね」

子供の頃は店が遊び場、店も自然と継いだ。しかし、予想できないことが起こるのが世の常。住吉さんも窮地に立 たされることになる。 「社長に就任した途端、BSEが発生し、売上が半分くらいまで落ち込んで。浅草の老舗は、 関東大震災や戦火で二度も焼け落ちたのにそれでもまた商売を始める。浅草の商売人魂は、逆境に強いです」

今だから言えることだが、考えるだけ無駄、やってみないとわからない、と住吉さん。そして昨年、ちんやはA5 の肉を扱わない『適サシ肉宣言』を発表し、マスコミを賑わせた。

以前から取り組んでいたことなのですが、お客様に本当に旨いすき焼を食べてほしいという思いでわかりやすくコ ミュニケーションしただけなんですけど、予想外の反響で。店で運ばれる肉を見たとき、昔はこんなだったなぁ、 と昭和年代に戻ったような懐かしさを覚えました」

お客様に銭失いさせないこと が住吉さんの商売の基本だ。今日もちんやのすき焼をつつきつつ、笑顔に溢れるお 客様の姿が目に浮かぶ。

  • 心に残る思い出を 住吉史彦

  • 匠の言葉

    「心に残る思い出を」
    人の記憶には旨いものしか 残らないからこそ、旨いものを出さなければいけない。お客様の得を第一に考える料理人としての志だ。

店舗情報

すき焼 ちんや

  • 住所 台東区浅草1-3-4   ▶︎MAP
    電話番号 03-3440-7656
    営業時間 月・木・金:12時~15時、16時半~21時半
    水:16時半~21時半(夜席のみ)
    土:11時半~21時半(休憩なし)
    日・祝:11時半~21時(休憩なし)
    ※閉店時間の2時間半前までにご入店ください。要予約
    ※火曜(祝日・祝前日にあたる場合は臨時営業)、元日休
    WEBサイト http://www.chinya.co.jp

    関東流と関西流の両方を 採り入れた「ちんや流」すき焼。
    130有余年変わらない甘めの割下とご主人選りすぐりの和牛独特 の風味が相まって、旨みは濃いがくどくないと好評。
    素材は下町の専門業者から仕入れるなど、浅草らしさも十分だ。

この記事をシェアする

RELATED ARTICLESこちらの記事もおすすめです

記事一覧 継ぎ人 記事一覧