TOP MAGAZINE特集 幸福になるために人生訓の読書のススメ

幸福になるために人生訓の読書のススメ

良書を読むことによって、知識や教養を高めることができる。そうして人間力が強くなれば、思いもかけなかったような苦難に直面しても自分を見失うことなく、幸せな人生を送ることができる。2022年。人生の糧になる読書で、幸せを掴む力を手に入れよう。
※Photographs_YOSHIFUMI IKEDA(mo`better).
Edit&Word_POW-DER

先人が遺した叡智に学び人間力を高め幸せになる読書

“自分とは何か”、“世界とは何か”の解答へ導いてくれる道標。
そんな良書に出会い、それを読むことの意義や魅力について、最強のブックガイドとして評判の『読書大全』著者・堀内 勉さんが語る。

PROFILE

多摩大学社会的投資研究所教授・副所長(多摩大学大学院特任教授)
堀内 勉さん
東京大学法学部卒業、ハーバード大学法律大学院修士課程修了、アイ・エス・エル(Institute for Strategic Leadership)(SLP)修了、東京大学 Executive Management Program 修了。1984年日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。興銀証券(現みずほ証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て2005年、森ビル・インべストメントマネジメント社長に就任。2007〜2015年、森ビル取締役専務執行役員兼最高財務責任者。そのほかにも多彩な役職を務める傍ら、資本主義の研究をライフワークとして、多様な分野の学者やビジネスパーソンと「資本主義研究会」を主催している。

人生を強く生きるために積極的に良書を読む

 子供の頃、親や先生から「本を読みなさい」と忠告される度に、また社会人になってからも上司から「この本はタメになるよ」と1冊の本を手渡される度に、「読書ってそんなに大切なことなのだろうか」という疑問が思い浮かんだ人は少なくないだろう。

 そこで、本の価値や読書の意義について、『読書大全』の著者である堀内 勉さんに伺った。
「自分の人生観を揺さぶる感動というのは、人との出会いと大自然との対峙から得られます。本というのは、すでにこの世にいない人も含めて、究極の〝人との出会い〟です。本の著者はこちらの無知を叱ることもなく、何時間でも真摯に向き合ってくれますから。そうやっていろいろな本を読むことで、自分自身の人生の視野が広がります。それが読書の意義と言えるでしょう」と語る堀内さん。

 なるほど。本を読むことによって歴史上の偉人や、現世であれば絶対に会ってもらえないような人が、親身になってアドバイスしてくれるうえに、行ったことがない地球の果てや、壮大な宇宙の真理を垣間見ることさえも可能になるというわけだ。

 では、いつ、どんな本を、どのように読めばいいのだろうか。

 「読み手と本の相性の問題はあるので、完全なる良書(逆に完全なる悪書)というのは客観的には無いかもしれませんが、とにかく良書を積極的に読むこと。具体的には、子どもの頃の強制的な読書ではなく、自分が興味を持った人(モノ)の本を読むことから始めるといいでしょう。本を読むタイミングは、自分が『読みたい』と思った時がベスト。なぜならその時こそ自分の受け入れ態勢が整っているので、本の内容が心の中に素直に入ってくるからです。こちらが必死になれば必死になっただけ、真摯に応えてくれるのが本というものです」

 堀内さんのアドバイスどおり良書を読むと、はたして人は幸福になれるのだろうか。

 「会社の倒産や離婚、身近な人の死、あるいは失恋など、さまざまな理由から人は窮地に立たされることがままあります。そんな時こそ自分が強くあり続けるために読書が役立つと思います。大昔の人も現代人も同じように、『どうしたら幸せになれるか?』や『どうすれば良い人生を送れるか?』と悩んでいます。人生に悩んだ時こそ良書を読めば、きっと幸福になれますよ」

 もし自分では正解が出せない時、正解のない問いに直面した時、先人たちが遺してくれた良書との手会いは、きっと進むべき道のヒントを与えてくれるはずだ。

『読書大全世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』

堀内さんは「自分の経験をビジネスパーソンや若者たちに伝えることで、少しでも人生に役立ててもらいたいと思ったから」と、この本の出版理由について語っている。

『読書大全世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』

『読書大全世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』
堀内 勉 著
¥3,080(税込) 日経BP

堀内 勉さんが語る
[読書が人を幸福にする仕組み]

1 . 著者を知る

例えば歴史上の偉人でもいいし、あるいは現代の著名人でもいい。まずは著者に興味を持つことからスタート。

2 . 本を読む

その人物のことをもっと知るために、その人の著書を読む。紙でできた本でもデジタル本でも、どちらでも構わない。

3 . 関心事が増える

1冊を読み込んでいくと、必ず知らない人物や、理解できないことが出てくる。それらに興味を持つことが大事なのだ。

4 . さらに本を読む

1冊目で遭遇した「知らないこと(人)」を知るために、新たな本を読む。すると、また知らないこと(人)が出てくる

5 . 生きる力が高まる

知らないことを知るための無限ループによって、知識や教養が高まり、人生の幅が広がる。そして生きる力が高まる。

2022年読んでおきたい本 Best10

堀内 勉さん推薦!

重大な選択を迫られた時、危機的な状況に陥った時などに、真の読書体験が役に立つ……と堀内さんは明言。
人生の岐路で迷わず、そして幸せに生きるための力になる、堀内さんオススメの名書10選。

自分の存在について悩んだ時

1.『マルクス・アウレーリウス 自省録』

ローマの哲人皇帝マルクス・アウレーリウスが重責の生のさなかに紡ぎ出した言葉は、古来数知れぬ人々の心の糧となってきた。「いわば彼の日記です。現代にも通じる、生きるための実践の言葉が溢れています」と堀内さんは解説。自分の人生を顧みる際、内面に入り込むのではなく、俯瞰的に見るために読みたい。

自分の存在について悩んだ時

マルクス・アウレーリウス 著
¥946(税込) 神谷美恵子 訳 岩波文庫

人生で窮地に立たされた時に

2.『夜と霧 【新版】』

ヴィクトール・E・フランクルのナチスの強制収容所体験記録。「精神科医のフランクルが、ユダヤ人強制収容所でいかに自分と向き合い、いかにそこを生き延びたかが綴られています。ですから、会社が倒産するなど、極限の状況に陥った時のビジネスマンには、ぜひ読んで欲しい1冊ですね」。

人生で窮地に立たされた時に

ヴィクトール・E・フランクル 著
¥1,650(税込) 池田香代子 訳 みすず書房

自分の可能性について悩んだ時に

3.『ひとはなぜ戦争をするのか』

「当時の国際連盟が、アインシュタインにどんなテーマでも、どんな相手でもいいからと対談をお願いしたところ、フロイトと戦争について語り合ったのがこれです」と堀内さん。「戦争ばかりしてる人間はダメ」と言うアインシュタインと、「文化によって回避できる」と応えるフロイトとの対比が興味深い。

自分の可能性について悩んだ時に

アルバート・アインシュタイン、ジグムント・フロイト 著
¥660(税込) 浅見昇吾 訳 講談社学術文庫

大人としての生き方に迷った時に

4.『後世への最大遺物・デンマルク国の話』

日清戦争が起きた1894年、箱根・芦ノ湖畔で行われたキリスト教徒夏期学校で、日本を代表するキリスト教指導者である内村鑑三が講演。その内容を記録した1冊だが、「後の世に何か遺すことはできないか?」という難しい問いに著者が明快に答えている。子や孫に何を残そうか迷った人は、ぜひ読んで欲しい。

大人としての生き方に迷った時に

内村鑑三 著
¥594(税込) 岩波文庫

“人間について”考えてみたい時に

5.『エセー』

宗教戦争のさなか、フランスの哲学者モンテーニュが、徹底した人間観察に基づき人間の生きるべき道を探求した随筆集。「今の『エッセー』の語源になった本です。マルクスの『自省録』と違い、こちらは人に見せることを前提に書かれていて読みやすくなっています」。人間関係が希薄な現代こそ、必読の1冊だ。

人間について”考えてみたい時に

ミシェル・ド・モンテーニュ 著
¥1,034(税込) 原 二郎 訳 岩波文庫

ビジネスマンとして構想力を強めたい時に

6.『サピエンス全史』

我々人類が力の強い他の生物を押しのけて、この地球の頂点に君臨できたのはなぜか? その謎を解く歴史書でありながら、新たなビジネスモデルを考えさせてくれる。「人類の歴史を俯瞰することでホモサピエンスの存在を説明した世界的ベストセラー。ビジネスマンはぜひ読んで欲しい」と、堀内さんは絶賛する。

ビジネスマンとして構想力を強めたい時にビジネスマンとして構想力を強めたい時に

ユヴァル・ノア・ハラリ 著
各¥2,090(税込) 柴田裕之 訳 河出書房新社

哲学と宗教を全体的に理解したい時に

7.『哲学と宗教全史』

ライフネット生命創業者でありAPU学長でもある出口治明が、初めて語る哲学と宗教全史。「哲学と宗教の専門家ではないビジネスマンの出口治明だからこそ書けた“まとめ本”です。哲学と宗教の全容がわかりやすく書かれているので、この2つの大きな枠組みを知りたい人は読むといいでしょう」。

ビジネスマンとして構想力を強めたい時に

出口治明 著
¥2,640(税込) ダイヤモンド社

ビジネスマンのトップを目指したい時に

8.『貞観政要』

中国史上最高の名君の一人、唐朝第二代皇帝太宗李世民の言行録。「太宗の死後にまとめられた、彼と重臣達との間で交わされた問答をまとめたもので、『書経』と並んで古くから帝王学の教科書とされてきました。部下の心を掴むといった内容も多く含まれ、日本のビジネスリーダーが必ず読んでいる良書です」。

ビジネスマンのトップを目指したい時に

呉 兢 著
¥1,100(税込) 守屋 洋 訳 ちくま学芸文庫

生き方のものさしを見つけたい時に

9.『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』

昨年早世したクリステンセン教授が、ハーバード・ビジネス・スクールの学生たちに向けた感動の最終講義などを、1冊にまとめた珠玉の書。「大企業のトップになるための教本と言えますが、自分の生き方のものさしを見つけたい学生にも読んで欲しい本です」。

生き方のものさしを見つけたい時に

クレイトン・M・クリステンセン、ジェームズ・アルワース、カレン・ディロン著
¥1,980(税込) 櫻井祐子 訳 翔泳社

資本主義について理解したい時に

10.『経済学は人びとを幸福にできるか』

「経済学は何のためにあるのか。人を幸せにするためではないか。そのために経済学はどうあるべきかを生涯にわたって追求してきた宇沢弘文の集大成です」。日本の新内閣が経済政策を見直しつつある今、改めて資本主義を見直すために読んでみるといいだろう。

資本主義について理解したい時に

宇沢弘文 著
¥1,760(税込) 東洋経済新報社

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