
継ぎ人 その十六
職人の道をピュアに邁進する粋な江戸っ子
ISSUED | 2018.08

神田淡平 六代目 鈴木 壮さん
- 伝統ジャンル | 煎餅屋 継 承 歴 | 六代目
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1987年東京生まれ。明治大学卒業。大学卒業後京都で3年間の修業後、家業に入る。現在、次期六代目としての修業に励む。
職人の道をピュアに邁進する粋な江戸っ子
激辛―お馴染みのこの言葉。実は激辛の生みの親が神田に本店を構える煎餅屋「神田淡平」だ。明治17年の創業以来、丁寧に心を込めて焼き上げる煎餅が人々を虜にしている。
「私の父が幼少期に通っていた塾の先生に辛い煎餅を食べさせられたことがきっかけで作られたものなんです。冗談で祖父がさらに辛い煎餅を作ったのが噂になって。祖母がそれなら店で売ってしまえば?と。まさか年末の流行語大賞を受賞するとは思ってもみなかったでしょう」
祖母の商売人としての思い切りの良さは、父、そして孫の壮さんにも受け継がれている。大学卒業後、京都で和菓子職人の修業をすると決めた壮さんは、自ら修業先を探すが、簡単なことではなく、約30軒の老舗をまわり、やっと京都の名店「京阿月」に弟子入りした。
「菓子どころか食に携わったこともなく、全くの素人。しかも修業期間は3年と決めていたので、なかなか受け入れてもらえませんでした。しかし、京阿月の社長は外での修業経験があり、快く受け入れてくれました」
3年間の修業を終え、いよいよ家業に入る壮さん。修業中とは違い、すべて自分でやらなければいけない大変さを知る。
「やることの量の多さにはじめは困惑しましたね。父からは、もの作りの大切さと、幅広い視野を持つことの2つを教えられました。原材料の米の出来が違ったり、天候に左右されたり、一定の品質を保つことは大変です。今後は、固定観念に囚われず、煎餅の新しい食べ方を開発していきたいですね。そしていつかは食文化の壁を越え、海外にも煎餅を広めたいです!」
今は製造の現場で奮闘している壮さん。江戸っ子の粋と変わらぬ老舗の味が世界に羽ばたく日もそう遠くはなさそうだ。
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匠の言葉
「粋」
遊び心がある江戸っ子の粋な「江戸っ子魂」を持ちつつ継いでいきたい。粋という漢字に「米」が使われているのも何かのご縁かもしれませんね、と壮さん。
店舗情報
神田淡平
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本店
住所 千代田区内神田2-13-1 ▶︎MAP 電話番号 03-3256-1038 営業時間 月~金9:00~20:00、土10:00~18:00 定休日 日曜祭日休業 浜松町支店
住所 港区浜松町2-5-1 ▶︎MAP 電話番号 03-3432-1021 営業時間 月~金9:00~18:00、土10:00~18:00 定休日 第2・第4土曜日、日曜祭日休業 煎餅は常時16種類! 伝統の本格手焼き煎餅「今戸焼」をはじめ、一番人気のゴマ、変わり種の山椒などバリエーション豊か。
「琉球ザラメは母の出身地沖縄にちなんで、シナモンはパティシエだった妻のアイデアで作ったものです」(壮さん)
神田淡平の煎餅をこよなく愛する永六輔さんの書。会社のロゴも永さん直筆。
葛飾今戸焼陶工、最後の作品
今戸焼に欠かせない鏝。葛飾の今戸焼陶工に頼み込んで再生産してもらった。今戸焼は今でもすべて手作業で焼く。
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